TLT・VGLT・EDVを比較:米国債ETFの保有銘柄と重複
TLT、VGLT、EDVを指数、米国債の保有内容、デュレーション、SEC利回り、費用、上位10銘柄の集中度、CUSIPによる重複で比較。通常の利付債とTreasury STRIPSの違いも解説します。
このガイドの内容「長期米国債」でも投資対象の設計は異なる
短い要約
TLT、VGLT、EDVはいずれも長期の米国債に投資しますが、保有する債券の種類と重複は同じではありません。2026年9月26日に確認した運用会社の最新保有ファイルでは、TLTとVGLTに通常の米国債47銘柄(CUSIP)が共通し、その債券はTLTの直接保有する債券ウェイトの99.99%、VGLTの58.87%を占めました。EDVのTreasury STRIPSは別のCUSIPで管理されるため、直接のCUSIP一致はありません。ただし、3本とも米国財務省が発行する証券や米国債利回りへのリスクを持ちます。保有日の差にも注意が必要です。TLTは9月24日、VGLTとEDVは8月31日のデータです。
「長期米国債」でも投資対象の設計は異なる
「長期」という名称だけでは、債券ETFの中身は分かりません。TLTはICE U.S. Treasury 20+ Year Bond Indexを参照し、残存期間20年以上の通常の名目米国債を保有対象にします。VGLTはBloomberg U.S. Long Treasury Bond Indexを参照し、残存期間10年以上の名目米国債を対象にします。EDVは20〜30年の米国債STRIPSを保有し、Bloomberg U.S. Treasury STRIPS 20–30 Year Equal Par Bond Indexをベンチマークに採用しています。TLTとVGLTは定期的な利払いがある債券を含みますが、EDVのSTRIPSは元本または利息の支払いを切り分けた証券で、途中のクーポン支払いがありません。
ICEの指数資料はTLTの参照指数を時価総額加重と説明し、VanguardはVGLTとEDVのポートフォリオをサンプリング方式で構築すると説明しています。ベンチマークの名称と構築方法は対象範囲を示すものの、実際のデュレーション、分配金、利回り曲線上の各年限への感応度まで一つで表すわけではありません。金利変動と価格の関係は金利上昇時に債券ETFが下落する理由とコンベクシティと価格感応度も参照してください。
数値は基準日と一緒に読む
| ファンド | 使用した保有データの日付 | 直接保有する米国債 | 公表デュレーション | 30日SEC利回り | 年間経費率 | 分配頻度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TLT | 2026年9月24日 | 47銘柄 | 14.88年(9月24日) | 5.41%(9月24日) | 0.15% | 毎月 |
| VGLT | 2026年8月31日 | 101銘柄 | 13.4年(7月31日) | 5.26%(9月8日) | 0.03% | 毎月 |
| EDV | 2026年8月31日 | 80 STRIPS | 23.9年(7月31日) | 5.56%(9月10日) | 0.05% | 3カ月ごと |
TLTについてはiSharesのファンドページと保有ファイルが9月24日時点の実効デュレーションなどを示しています。Vanguardの公式保有データAPIではVGLTとEDVの8月31日付ファイルを確認できます。一方、Vanguardのプロフィール表には7月31日時点の保有数やデュレーションが残っているため、APIの保有ファイルと同じ日付の数字として扱うことはできません。ここで示すSEC利回りも測定日が異なり、将来の運用成果を示す数字ではありません。iShares TLT、Vanguard VGLT、Vanguard EDVの各ページに運用目標、費用、指標が掲載されています。8月の保有データは公式のVGLTファイルとEDVファイルで確認できます。
保有数は経済的な分散度そのものではありません。STRIPSは元本と利息部分が別個の証券として数えられることがあり、現金・資金運用の行は米国債そのものではありません。ここでは現金準備を除いた米国債の直接保有CUSIPを数えています。9月24日のTLTには利付国債47銘柄、8月31日のVGLTファイルには債券101銘柄、EDVファイルにはSTRIPS80銘柄が載っています。
上位3銘柄に表れるバスケットの違い
各ファンドが報告した上位3銘柄を示します。TLTのデータは2026年9月24日、VGLTとEDVは8月31日時点です。基準日が異なるため、ウェイトは同時点の比較ではありません。
| ファンド | 証券の種類・クーポン率 | 満期日 | 報告ウェイト |
|---|---|---|---|
| TLT | クーポン債(4.75%) | 2055年5月15日 | 4.54% |
| TLT | クーポン債(4.625%) | 2054年5月15日 | 4.31% |
| TLT | クーポン債(4.125%) | 2053年8月15日 | 4.21% |
| VGLT | クーポン債(5.00%) | 2056年5月15日 | 2.18% |
| VGLT | クーポン債(4.75%) | 2055年8月15日 | 2.13% |
| VGLT | クーポン債(4.75%) | 2055年5月15日 | 2.12% |
| EDV | 元本STRIP(クーポンなし) | 2055年11月15日 | 1.90% |
| EDV | 元本STRIP(クーポンなし) | 2056年2月15日 | 1.85% |
| EDV | 元本STRIP(クーポンなし) | 2056年5月15日 | 1.83% |
クーポン率4.75%、満期2055年5月15日の同じ米国債が、TLTでは1位、VGLTでは3位に入り、報告ウェイトはそれぞれ4.54%と2.12%です。共通債券でもバスケット内の比率は異なりますが、基準日が違う点には注意が必要です。一方、EDVの上位3銘柄は元本STRIPです。定期的なクーポンを支払う債券ではなく、元本の支払いを分離した証券であり、他の2ファンドとはキャッシュフローの構造が異なります。

CUSIPで照合するとTLTとVGLTの重なりが見える
直接保有する米国債のCUSIPを照合し、現金や予備資産の行は除外しました。「ペアごとの最小ウェイト合計」は、共通する銘柄ごとに2ファンドの小さい方のウェイトを選び、その値を合計したものです。共通債券への配分を同じ銘柄単位で保守的に見積もる指標であり、どちらか一方のファンドが共通銘柄に投資する割合や、リターン相関を意味しません。
| 組み合わせ | 共通する米国債CUSIP | 共通債券の第1ファンド内比率 | 第2ファンド内比率 | CUSIP別の最小ウェイト合計 |
|---|---|---|---|---|
| TLT / VGLT | 47 | TLTの直接債券ウェイトの99.99% | VGLTの58.87% | 51.92% |
| TLT / EDV | 0 | 0% | 0% | 0% |
| VGLT / EDV | 0 | 0% | 0% | 0% |
照合したVGLTファイルではTLTの47銘柄がすべて確認できました。表示ウェイトの丸めを考慮すると、これはTLTの直接債券のほぼ全体です。それらはVGLTの直接債券ウェイトの58.87%にあたります。VGLTの指数対象は残存10年以上の通常国債で、TLTより短い年限も含むためです。51.92%という最小ウェイト合計は別の集計で、各CUSIPについて両ファンドの小さい方を足しています。
EDVにCUSIPの一致がないからといって、TLTやVGLTの保有する米国債と経済的な接点がないわけではありません。STRIPSは米国債の元本や利息の支払いを切り出し、それぞれを別の証券として扱います。そのため、通常の利付債と発行主体や満期に関係があっても、CUSIPは異なります。TreasuryDirectの米国債STRIPS解説では仕組みを確認できます。ここでの表は識別番号の直接一致だけを数え、同じ米国債カーブへの経済的なつながりまでは測りません。
上位10保有銘柄の比率だけで全体は判断できない
各ファンドの上位10保有銘柄のウェイト合計は、TLTが40.72%、VGLTが20.80%、EDVが16.66%でした。TLTではVGLTにも含まれる超長期債への配分が大きく、VGLTでは通常の名目国債の対象年限がより広いため、ウェイトが広がっています。EDVは元本STRIPSと利息STRIPSを個別に保有するため、証券単位では配分が分かれます。
この数字を株式ETFの企業集中度と同じものとして解釈したり、3本のリスクを直接順位付けしたりすることはできません。CUSIPごとの集中度、デュレーション、価格変動、想定損失、信用リスクはそれぞれ別の情報です。米国債は同じ米国政府の信用に関わる一方、満期、クーポン、利回り曲線の形状によって価格感応度は変わります。多数のCUSIPに分かれていても、長期金利の同じ動きに強く影響されることがあります。
デュレーション、満期、SEC利回りの違い
公表デュレーションは、TLTが14.88年、VGLTが13.4年、EDVが23.9年です。ただしTLTは9月24日時点、VGLTとEDVは7月31日時点の数値であり、同じ日の横並び比較ではありません。算出方法にも提供元の違いがあり得ます。
一次近似では、利回りがカーブ全体で一律に1ポイント上がると、価格はTLTで約14.9%、VGLTで約13.4%、EDVで約23.9%下がる計算です。コンベクシティやその他の条件を除いた概算であり、予測ではありません。利回りが同じだけ下がる場合は線形近似の符号が反転しますが、実際の価格変化はコンベクシティにより対称になりません。年限ごとに利回りが異なる方向へ動く場合、ポートフォリオやデュレーション、市場価格が変わる場合にも結果は異なります。キーレート・デュレーションとイールドカーブのリスクも確認してください。
満期は個々の債券が元本を返済する契約上の日付です。デュレーションはモデル上の仮定に基づき、金利変化に対する価格感応度を測ります。通常の債券ETFは保有債券を入れ替えるため、ファンド全体の資産が一斉に返済される単一の満期日を持ちません。30日SEC利回りは費用控除後の直近収益を標準化した指標で、ETFのクーポンや将来の分配金を保証するものではありません。分配金利回りは分配額や計算時の価格に左右されます。ETFのSEC利回りと分配金利回り、債券ETFは満期を迎えるのかも参考になります。
経費率の差だけでは比較を終えられない
USD 10,000を1年間保有し、年間経費率を固定的に掛けると、経費の概算はTLTが約USD 15、VGLTが約USD 3、EDVが約USD 5です。単純な計算例であり、通常、運用会社がこの金額を別請求するわけではありません。実際の費用はファンド資産の平均額などで変わります。売買スプレッド、仲介手数料、税金、市場価格とNAVの差、ポートフォリオ内の売買費用も含みません。ETF価格とNAV、プレミアム・ディスカウントも確認してください。
経費率が低くても金利リスクは消えません。公表経費率ではVGLTが低コストですが、長期債への投資です。EDVはSTRIPSを保有し、デュレーションが大きいため、利回り変動による価格への影響も異なります。TLTとVGLTは毎月、EDVは四半期ごとに分配します。頻度からトータルリターンや将来の支払い額は分かりません。
関連テーマで債券バスケットを読み解く
利息を定期的に支払う国債とゼロクーポンのSTRIPSの違いは、Treasury STRIPSとゼロクーポン債で確認できます。曲線上の特定年限への感応度を知るには、キーレート・デュレーションの解説が役立ちます。共通CUSIPの数だけで将来の値動きを推定せず、対象年限、利払いの有無、各ファイルの日付を合わせて考えるための補足です。
比較するときは、まず対象とする年限帯とキャッシュフローの形を定め、保有ファイルの日付を確認します。そのうえでデュレーション、SEC利回り、経費率、分配頻度を別々に見ます。ティッカーの印象や最も低い経費率だけでは、比較したいリスクは判定できません。
主要資料とデータ範囲
CUSIPの件数とウェイトは、iSharesが公表した2026年9月24日時点の直接保有米国債と、Vanguard公式フィードの8月31日時点データを照合した結果です。現金準備は除外しました。SEC利回りとデュレーションは各ファンドページに記載された個別の日付であり、単一の基準日にそろえた値ではありません。Vanguardのプロフィール表には7月31日の数値が残る場合がありますが、ここで使用した保有APIの日付は8月31日です。表示ウェイトを集計したため、より細かい元データでは丸め後の差が出ることがあります。指数と公式文書は2026年9月24日付TLT公式保有ファイル、ICE米国債20年以上指数、VGLT概要目論見書、EDV概要目論見書でも確認できます。
この記事はファンドの仕組みと過去時点の保有データを説明するもので、投資、税務、法務、金融上の助言や推奨ではありません。運用目標、保有銘柄、費用、デュレーション、利回り、目論見書、市場価格は変わる可能性があります。利用前に運用会社の最新資料を確認してください。
よくある質問
Q1TLTとVGLTは同じ米国債を保有していますか?
今回使用したファイルでは、通常の名目米国債47銘柄のCUSIPが共通しています。それらはTLTの直接債券ウェイトの99.99%、VGLTの58.87%です。両ファンドの指数と対象年限は異なり、保有ファイルの日付も一致していません。
Q2EDVは他の2本と重複しないのですか?
比較したファイルでは、EDVのSTRIPSとTLT・VGLTの利付債に直接一致するCUSIPはありません。STRIPSも米国財務省の証券で、米国債利回りの影響を受けます。識別番号の不一致だけで経済的な共通リスクがなくなるわけではありません。
Q3EDVの満期は23.9年ですか?
いいえ。23.9年はVanguardが2026年7月31日時点で示した平均デュレーションで、ファンドの単一満期ではありません。EDVは満期20〜30年のSTRIPSを保有します。満期とデュレーションは関連しますが、同じものではありません。
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TLT/VGLTのCUSIP別最小ウェイト合計51.92%は何を表しますか?
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