オプションの勝率と期待損益:勝率90%でも損をする理由
オプション取引の勝率、平均利益、平均損失、費用から期待損益を計算します。勝率90%の具体例と損益分岐勝率、プロフィットファクター、取引記録の確認方法を解説します。
要点
オプションの勝率は利益が出た取引の割合、期待損益は取引1回あたりの平均的な利益または損失を表します。勝率90%でも、損失が利益より大きければ資金は減ります。費用とポジション全体の結果を含めて評価し、過去の割合を次の取引の確率と混同しないでください。
勝ったレッグではなくポジション全体を数える
まず、何を1回の取引とするかを決めます。2つのレッグを一緒に建てて決済したスプレッドは、1つの観測値です。売りレッグの利益と買いレッグの損失を別の戦略成績に分けないでください。
一部決済やロールにも同じ基準を使います。ロールの決済と新規建てを別々に記録する場合も、元のポジションと関連するキャッシュフローを追えるようにします。
小さな利益だけを確定し、大きな含み損を残せば、実現損益の勝率は高く見えるかもしれません。しかし、それだけでは口座全体の状態を説明できません。
過去の勝率と、取引画面に表示される利益確率も別物です。前者は標本の結果、後者はモデルと将来の利益条件に基づく推定です。
モデルの意味は利益確率と損益分岐点の違いで確認できます。ここでは、取引記録の勝率を実際の損益額と照合します。
勝率から期待損益を求める4つの入力値
利益か損失のどちらかになる単純化したモデルでは、計算前に入力値を定義します。通貨とポジション数量の基準をそろえてください。
平均純損益 = p × W − (1 − p) × L − C。
過去の平均値を入れると、その標本の平均成績が得られます。仮定した確率と損益を入れると、そのシナリオの期待値になります。どちらも入力値が将来続くことの証明ではありません。
損益ゼロの取引なども含む実際の記録では、完了した全取引の純損益を合計し、総取引数で割る方法が明確です。都合の悪い観測値を除外しないでください。
WとLが既にすべての費用を含む場合、Cを再び差し引きません。費用前の小さな利益が費用後には損失になることもあるため、「勝ち」の定義も統一します。
- p:利益が出る取引の割合。90%なら0.90と入力します。
- W:別途計上する費用を引く前の、利益取引1回あたりの平均利益です。
- L:同じ費用を引く前の、損失取引1回あたりの平均損失の絶対額です。
- C:完了した取引1回あたりの平均費用です。計算では1回だけ差し引きます。
勝率90%の100取引を金額で検算する
同じ満期の100/95ブル・プット・スプレッドを考えます。仮の受取プレミアムは0.50、契約乗数は100株、権利行使価格の幅は$5です。
満期の最大利益は$50です。費用前の最大損失は($5 − $0.50) × 100 = $450となります。両レッグを想定どおり一体として処理することが前提です。
この損益構造は[OICのブル・プット・スプレッド解説](https://www.optionseducation.org/strategies/all-strategies/bull-put-spread-credit-put-spread)に基づきます。
計算を切り分けるため、90取引が$50の利益、10取引が$450の損失になると仮定します。実際には途中の損益や満期前の決済もあります。これはバックテストではありません。
1取引あたりの平均純損益は−$2です。この例では、1回の$450の損失が9回の$50の利益を使い切り、そのうえ費用がかかります。
受け取ったプレミアムは、そのまま確定利益ではありません。スプレッドの決済や清算に必要な支払いも記録に含めます。
- 利益取引の合計:90 × $50 = $4,500。
- 損失取引の合計:10 × $450 = $4,500。
- 費用前の結果:10回中9回勝っても$0です。
- 仮の費用:100 × $2 = $200。純損益は−$200です。
費用を含む損益分岐勝率90.4%の求め方
期待損益の式をゼロとしてpについて解くと、必要な勝率は(L + C) ÷ (W + L)です。ここではWとLを正の金額として扱います。
例の数値では($450 + $2) ÷ ($50 + $450) = 0.904、つまり90.4%です。仮定した勝率90%は、この水準を下回ります。
これは勝率の分岐点であり、株価の損益分岐点ではありません。このスプレッドの費用前の満期損益分岐株価は$100 − $0.50 = $99.50です。
権利行使価格、利食い時点、損切りルールを変えると結果の分布も変わります。都合のよい古い値を残すのではなく、平均利益と平均損失を両方見直します。
勝率の仮定を変えて平均損益の弱さを確認する
平均利益$50、平均損失$450、費用$2を固定し、pだけを変えて比較します。
これらは予測ではなく感応度の比較です。正確には分からない確率の仮定に、結果がどれだけ左右されるかを示しています。
約定費用の増加や平均利益の減少も試してください。わずかな仮定変更で優位性が消えるなら、最も良い結果だけでなく、その弱さも記録します。
- 勝率85%:0.85 × $50 − 0.15 × $450 − $2 = 1取引あたり−$27。
- 勝率90%:0.90 × $50 − 0.10 × $450 − $2 = 1取引あたり−$2。
- 勝率95%:0.95 × $50 − 0.05 × $450 − $2 = 1取引あたり$23。
プロフィットファクターを勝率と照合する
プロフィットファクターは、利益取引の利益合計を損失取引の損失合計の絶対値で割った値です。費用前か費用後かを明示します。
例の費用前の値は$4,500 ÷ $4,500 = 1.00です。各取引に$2の費用を割り当てると、純利益合計は$4,320、純損失合計は$4,520となり、約0.956です。
同じ記録でも、勝率90%、平均純損益がマイナス、費用後のプロフィットファクターが1未満という組み合わせは成立します。定義が一致していれば矛盾ではありません。
標本に損失取引がない場合、分母はゼロです。未定義や無限大のような表示は、その戦略に下落リスクがないという証拠ではありません。
期待損益と標本数、口座の耐久力を分ける
20回中18回の勝ちと1,000回中900回の勝ちは、どちらも勝率90%です。根拠の量は異なり、どちらの割合も次の取引の成功確率を確定しません。
同じ原資産のポジションを同時期に保有すれば、同じ市場ショックの影響を受ける可能性があります。独立した成功例の集まりとして数えると、根拠を過大評価しかねません。
数量も重要です。損失取引だけ契約数が多かった場合、1契約に換算した平均値だけでは口座の損失を見落とせます。標準化した成績と実際の現金収支を併記します。
期待損益がプラスでも、最大ドローダウンは制限されません。利益より先に損失が続く可能性があり、レバレッジを使う口座がその順番に耐えられるとは限りません。
[OICのレバレッジとリスクの解説](https://www.optionseducation.org/optionsoverview/leverage-risk)も、勝つ頻度とは別にエクスポージャーと損失リスクを見る理由を示しています。
オプションの勝率を評価する取引記録チェック
取引を選び出す前に検証期間を決めます。標本全体を証券会社の記録と照合し、未決済ポジションのリスクを実現成績の横に示してください。
実際の約定価格で計算した記録から、推定した売買スプレッド費用をもう一度引かないでください。一方、気配の中間値を使うバックテストには約定の仮定が必要です。 [!TRYMARK] TryMarkの期待損益チェック 次の記録見直し日に平均純損益をゼロと比較します。高い勝率を評価する前に、実際の決済価格、全費用、より大きい損失の仮定を入れて再計算してください。 [!WARNING] 満期損益の上限は口座管理の保証ではありません 早期割当てや両レッグの非対称な処理は、株式エクスポージャーや資金需要を生むことがあります。単純な満期損益図が口座全体の結果を保証するわけではありません。
- ポジション全体、数量、契約乗数、建てと決済のキャッシュフローを記録します。
- 一部決済、ロール、権利行使、割当て、それに伴う株式保有を関連付けます。
- 実際の約定価格に含まれるスリッページと、別途請求される費用を分けます。
- 純損益額、取引数、平均利益、平均損失、最大の単一損失を併記します。
- 標本期間、決済ルール、ポジション数量の変更を後から確認できるようにします。
この期待損益の例では証明できないこと
デルタは価格感応度です。1からデルタの絶対値を引いた数が、自分の売買手順の勝率になるとは限りません。デルタと確率の違いを確認してください。
計算は独自に設定した仮の数値例です。リアルタイムの相場、個人の売買実績、検証済み戦略ではありません。記録と仮定を評価する教育資料であり、売買の推奨ではありません。
約定の論点はオプション取引費用、記録の整理は取引記録チェックリストも参照してください。
よくある質問
オプションの勝率90%だけで収益性を判断できますか?
できません。利益$50、損失$450なら、勝率90%は費用前で収支ゼロです。損益の大きさ、実際の約定、未決済ポジションの扱いも確認する必要があります。
勝率40%のオプション戦略でも利益は出せますか?
利益$300、損失$100、費用$2の二結果モデルでは、0.40 × $300 − 0.60 × $100 − $2 = 1取引あたり$58です。ただし、実際にこの入力値を達成できるかは別の問題です。
証券会社の純損益から手数料をもう一度引きますか?
既に含まれていれば引きません。売買手数料、取引所費用、金利などがどこまで反映されているかを確認します。同じ費用は一度だけ数え、会計の基準を統一してください。
期待損益がプラスなら契約数を増やしても安全ですか?
いいえ。推定期待損益は連続損失、口座の下落、資金需要の上限ではありません。数量を増やすと金額リスクが増え、約定条件も変わり得ます。不確かな仮定が正確になるわけではありません。