時間加重収益率と金額加重収益率:口座の成績が異なる理由
同じ入出金の例からTWRとMWRを計算します。運用成績がプラスでも投資資金が減る理由、IRR・XIRRの年率、分配金や先物の日々の決済と外部資金の違いを確認できます。
要点
時間加重収益率は入出金の直接的な影響を除き、金額加重収益率はその金額と時期を反映します。下落の直前に多くの資金を追加すると、TWRがプラスでも投資家の資金は減り得ます。両者は同じ口座を別の観点で測るため、期間と年率表示をそろえて比較する必要があります。
入出金を分類する前に測定する口座の範囲を決める
ポートフォリオの運用そのものがどうだったかと、異なる日に資金を投入した投資家がどの収益率を得たかは別の質問です。TWRとMWRは、その違いを測る指標です。
このガイドでは現金、投資資産、負債を含む口座全体を測定します。銀行からの送金は外部資金の流入ですが、口座内の現金で株式を買う取引は外部流入ではありません。
2つの口座間の移動は、それぞれを単独で測る場合には外部フローです。両口座を統合したポートフォリオでは内部移動になります。先に境界を固定してください。
表示通貨、評価方法、費用の扱いも統一します。以下の計算は正のポートフォリオ評価額を前提とし、特定国の税務申告や口座規則を説明するものではありません。
[GIPSの成績測定方法](https://www.gipsstandards.org/standards/gips-standards-for-firms/gips-standards-handbook-for-firms/)も、時間加重方式と外部キャッシュフローの時期を反映する方式を区別しています。
追加投資が一度ある2年間の口座を追跡する
費用、税金、分配金、借入、為替変動がない独自の仮想例です。下記の各期間は正確に365日で、追加投資は初年度末の評価直後に行います。
初年度の運用益は200、翌年度の運用損失は1,000です。投資損益の合計は−800で、9,000 − 1,000 − 8,800でも同じ結果になります。
残高は1,000から9,000へ増えましたが、運用収益率が800%なのではありません。増加の大半は追加投資です。実際の口座記録やバックテストではありません。
- 2024年9月18日:口座に1,000を投資します。
- 2025年9月18日:追加入金前の口座評価額は1,200です。
- 同日:8,800を追加し、口座評価額は10,000になります。
- 2026年9月18日:その後の入出金はなく、口座評価額は9,000です。
入金の前後で区切って時間加重収益率を計算する
外部フローが期間内に入らないよう分割します。入金直前の評価額を前の区間の終了値、入金直後の評価額を次の区間の開始値に使います。
最初の区間の収益率 = 1,200 ÷ 1,000 − 1 = 20%です。
次の区間の収益率 = 9,000 ÷ 10,000 − 1 = −10%です。
成長係数をつなぐと、TWR = (1 + 0.20) × (1 − 0.10) − 1 = 2年間で8%です。20%と−10%を足すだけでは、累積収益率を誤ります。
比較用に年率化すると、(1.08)^(1/2) − 1 ≈ 年3.9230%です。2年間の累積8%と、この年率を分けて表示してください。
[TWRの計算指針](https://www.gipsstandards.org/standards/gips-standards-for-asset-owners/gips-standards-handbook-for-asset-owners/)は、外部フローの前後で区切った収益率を連結する方法を説明しています。
投資家から見た符号で金額加重収益率を求める
内部収益率であるIRRは、MWRを求める代表的な方法です。投資家から見て拠出金はマイナス、引き出した資金と最後のポートフォリオ評価額はプラスで記録します。
この例の日付別の値は−1,000、−8,800、+9,000です。最後の値は計測上の最終回収額として扱います。資産を実際に売却した必要はありません。
年間IRRをrとすると、初日の価値に割り引く式は−1,000 − 8,800 ÷ (1 + r) + 9,000 ÷ (1 + r)^2 = 0です。
同じ式を整理すると、1,000 × (1 + r)^2 + 8,800 × (1 + r) = 9,000です。解はr ≈ 年−7.4589%です。最初の資金は2年、追加資金は1年だけ運用されています。
丸める前の解を代入すると、最終評価額9,000が再現されます。途中の1,200は正確なTWRに必要ですが、IRRの式へ入れるキャッシュフローではありません。
[IBKRの成績指標の説明](https://www.ibkrguides.com/orgportal/performanceandstatements/pa_viewingaccountperformance.htm)も、入出金の規模や時期を反映するMWRとTWRを区別しています。
日付付きIRRを再現し最終残高を二重計上しない
表計算ソフトでは、例の3つの日付に−1,000、−8,800、+9,000を対応させます。XIRR(values, dates)は実際の日付を使い、通常のIRRは等間隔の観測を前提とします。
MicrosoftによるとXIRRは1年を365日として計算します。この例では両区間が365日なので、年率は先ほどのIRRと一致します。別の日数基準では小さな差が生じる場合があります。
[XIRRの公式文書](https://support.microsoft.com/en-us/excel/functions/xirr-function)で日付入力と符号を確認できます。解釈が曖昧な日付文字列ではなく、日付データを使用してください。
最終ポートフォリオ価値は一度だけ含めます。期末にすべて売却して出金した場合は、その出金額と残存価値ゼロを使い、出金前の残高を再び加えません。
マイナスのXIRRも正しい結果になり得ます。フローの符号が繰り返し変わる場合には複数の解もあり得ます。計算失敗や都合のよい初期推定値だけで収益率を確定しないでください。
TWRがプラスなのに800を失う理由を説明する
初年度の20%上昇にさらされていた資金は1,000だけですが、翌年度の10%下落には10,000がさらされていました。損失の年に多くの資金があったため、投資家の結果はマイナスです。
追加投資がなければ、同じ割合の変化で1,000は1,080になります。中間の外部フローがなく他の条件も同じなら、年率換算TWRとIRRはともに約3.9230%です。
−800を総拠出額9,800で割ると約−8.1633%です。この単純な損益比率は年間IRRではなく、日付別フローの分析にも代わりません。
TWRは投資家が決めた入出金時期の影響を除いて比較する際に役立ちます。MWRは投資家の経験や、資金投入の時期そのものを評価する意思決定に適しています。
常に優れた一方があるわけではありません。同じ期間の年率TWRと年率MWRを比較し、累積TWRと年間IRRを混同しないでください。どちらも下落幅や将来の成績を保証しません。
外部資金と配当金、先物の日々の決済を分ける
口座全体では、現金で残した配当や再投資した配当は運用の結果であり、投資家の新規拠出ではありません。その後銀行へ送金した時点で、口座からの外部出金になります。
[Investor.govの分配金解説](https://www.investor.gov/introduction-investing/general-resources/news-alerts/alerts-bulletins/investor-bulletins/fund-distributions-investor-bulletin)は現金受取と再投資を区別しています。
個別ファンドだけを測ると、保有者への分配金はその投資の境界を越えます。統合した口座では同じ資金が現金として内部に残ることがあります。測定範囲を混ぜないでください。
先物の変動証拠金による日々の決済は取引損益であり、新規の拠出金ではありません。証拠金不足を補うための銀行送金は外部資金です。取引損失を出金扱いで成績から除かないでください。
[CMEの日々の値洗い解説](https://www.cmegroup.com/education/courses/introduction-to-futures/mark-to-market)を参照してください。口座純資産に一度反映し、完全な損益に決済額を再加算しません。
成績の見出しを選ぶ前に入力値を監査する
外部フローごとに区切る正確なTWRには、その前後の評価額が必要です。期首と期末の残高しかない場合に、途中の評価額を作り上げて正確な結果のように見せないでください。
日次処理の慣行やフローを加重する近似法は、報告書ごとに異なる場合があります。TWRやMWRという名前だけで同じ入力を使うと思わず、提供者の計算方法を確認します。
平均とCAGRは複利を、価格収益率と総収益率は収入の扱いを説明します。どちらも日付別の外部フローを自動では調整しません。 [!TRYMARK] TryMarkのキャッシュフロー照合 次の明細確認時には報告された期末純資産を照合目標にします。日付別の入金、出金、評価額を確認し、費用やフロー区分が変わったら比較可能なTWRとIRRを再計算してください。 [!WARNING] 収益率の名前はリスクの上限ではありません どちらの方法も損失を安全にせず、回復を予測しません。純資産がゼロ以下になると正の資本を前提とした通常の比較が崩れる場合があります。無理な割合より負債とフローを示してください。
- 口座の範囲、表示通貨、評価日、外部送金を記録します。
- TWRでは入出金前後の価値と区間収益率の連結を確認します。
- IRRでは投資家から見た符号、日付、最終評価の一度だけの計上を確認します。
- 年率化、収入、手数料、税金、負債の扱いをそろえて比較します。
よくある質問
お金を失ったのに時間加重収益率がプラスになることはありますか?
あります。利益が出た期間より損失が出た期間に多くの資金が投入されている場合です。TWRは拠出の直接的な影響を除き、金額加重の結果はその規模と時期を反映します。
入出金がなければ時間加重と金額加重の収益率は同じですか?
中間の外部フローがなく、評価額が正で、評価・費用・年率化の基準が同じなら一致します。それでも累積値と年率値を比べると、異なる結果に見える場合があります。
XIRRは測定期間全体の累積収益率ですか?
違います。XIRRは日付付きフローと365日基準による年率です。期間単位を明記してください。短期の観測を年率化しても、その成績が1年続くという予測にはなりません。
口座への現金の入金はすべて外部からの拠出ですか?
違います。売却代金、口座内の配当、先物の決済は、測定口座内の投資関連の動きの場合があります。決めた境界を越える資金と、その投資結果を分けてください。