マコーレー・修正・実効デュレーションの違いと計算例
マコーレー、修正、実効デュレーションを比較し、債券価格の計算例を通じて金利リスクの問いに合う指標を選ぶ方法を解説します。
このガイドの内容デュレーションは満期日ではなく複数の指標
短い要約
マコーレー、修正、実効デュレーションは関連していますが、答える問いは異なります。将来キャッシュフローの現在価値ベースの平均時点、債券自身の利回りが小さく変化したときの価格感応度、基準イールドカーブを動かして再評価したときの影響をそれぞれ表します。
デュレーションは満期日ではなく複数の指標
債券の満期日は、元本が契約上返済される予定の日です。デュレーションは、特定の前提に基づいてキャッシュフローの時期や価格感応度を表す指標です。満期の別名でも、投資額をいつ回収できるかの保証でもありません。
「duration」とだけ表示されている場合は、マコーレー、修正、実効、金額デュレーションのどれかを確認します。対象、評価日、利回りまたはカーブ、複利頻度、価格基準も必要です。CFA Instituteは、キャッシュフローを所与として債券自身の利回りを動かす利回りベースの指標と、ベンチマークカーブで再評価し不確実なキャッシュフローを扱えるカーブベースの指標を区別しています。{source:cfaYieldBasedBondDuration2026} {source:cfaCurveBasedRiskMeasures2026}
マコーレーデュレーションは受取時点を現在価値で加重する
マコーレーデュレーションは、予定キャッシュフローの受取時点を現在価値で加重平均したものです。時点tのキャッシュフローをCF_t、価格をP、利回りをyとすると、各ウェイトはPV(CF_t)/Pです。Pがモデル化したすべてのキャッシュフローの現在価値の合計なら、ウェイトの合計は1です。
PV(CF_t) = CF_t / (1 + y/m)^(m×t)
D_Mac = Σ[t × PV(CF_t)] / P
クーポン債では元本返済より前にクーポンを受け取るため、マコーレーデュレーションは満期より短いのが一般的です。予定キャッシュフローが満期の一回だけのゼロクーポン債では、所定のキャッシュフローと割引前提の下で満期までの期間と一致します。
これは現在価値で見た平均時点であり、実際の保有期間やクーポン再投資後の利回りを予測するものではありません。イミュニゼーション分析で使う場合も、利回り変化、再投資、対応させる負債について追加の前提が必要です。FINRAもデュレーションを単なる満期までの時間とは説明していません。{source:finraDurationExplainer}
割引キャッシュフローからマコーレーを計算する
オプションのない仮想債券を考えます。額面1,000ドル、年クーポン5%、残存3年、年利回り4%とします。年1回払い、クーポン支払直後の評価、年複利を前提にすると、受取額は1年後50ドル、2年後50ドル、3年後1,050ドルです。
4%で割り引くと、現在価値は約48.08ドル、46.23ドル、933.45ドルで、合計価格は約1,027.75ドルです。価格で割ったウェイトは順に約4.68%、4.50%、90.82%です。最終回には元本が含まれるため大きなウェイトになりますが、最初の二つのクーポンも平均時点を早めます。
1 × 4.68% + 2 × 4.50% + 3 × 90.82%を計算すると約2.8615年です。3年の満期より短いのは、現在価値の一部が早い時点のクーポンから生じるためです。表示値は丸められているため、正確な計算では丸め前の現在価値を使います。{source:cfaYieldBasedBondDuration2026}
修正デュレーションは利回り変化を局所的な価格推定にする
修正デュレーションは、指定された複利慣行に合わせてマコーレーを調整します。年率名目利回りyを年m回複利し、キャッシュフローが固定された一般的な債券では、D_mod = D_Mac / (1 + y/m)です。例では年1回払いなのでm=1、2.8615 / 1.04から約2.7514年になります。
債券自身の利回りが小さく変化する場合、価格変化率の一次近似はΔP/P ≈ −D_mod × Δyです。Δyは小数で入力します。1bp上昇は0.01ではなく0.0001、100bp上昇は0.01です。修正デュレーション2.7514なら、利回りが1%ポイント上がると価格は約2.7514%下がるという局所推定になります。他の入力は固定です。
修正デュレーションは開始利回り付近の傾きであり、任意の大きさのショックを完全再評価するものではありません。ドル換算にはポジション時価も必要です。1bpに対するDV01の一次近似の大きさは、一般に時価 × 修正デュレーション × 0.0001です。符号の慣行は資料によって異なり、固定損失額を示すものではありません。CMEはこの価格比率の感応度とDV01、BPV、VBPのドル金額を区別します。{source:cfaYieldBasedBondDuration2026} {source:cmeTreasuryRiskMeasurement}
実効デュレーションは基準カーブを動かして再評価する
実効デュレーションは、金利シナリオごとに全体評価した価格を使います。開始価格をP₀、基準カーブをΔr下げた価格をP₋、同じ幅で上げた価格をP₊とすると、中央差分はD_eff = (P₋ − P₊) / (2 × P₀ × Δr)です。Δrは小数で表します。値は通常、指定されたカーブショックに対する価格比率の感応度を年単位で示します。
将来キャッシュフローが金利で変化し得るコーラブル債、プット可能債、MBSなどに役立ちます。金利上昇・低下のシナリオで、評価モデルが予想される権利行使や期限前返済を更新してから価格を計算できます。そのため、結果は基準カーブ、ショックの大きさと形、モデル、ボラティリティ、キャッシュフロー前提、評価日に依存します。CFA Instituteは不確実なキャッシュフローのカーブリスクに実効デュレーションを使い、FINRAも償還条項付き債券ではマコーレーや修正と区別しています。{source:cfaCurveBasedRiskMeasures2026} {source:finraDurationExplainer}
実効デュレーションが常に「より正確」という意味ではありません。指定した基準カーブのシナリオでモデル上の価格がどう変化するかという別の問いに答えます。キャッシュフローが固定され、債券自身の利回り変化が問題なら、修正デュレーションの方が直接的です。カーブショックが平行かどうか、どのカーブを使うか、オプション債ならキャッシュフローを再計算するモデルも確認します。
一つの価格例で指標を比較する
額面1,000ドルの例に戻ります。利回り4%で価格は約1,027.75ドル、修正デュレーションは約2.7514です。利回りが100bp上がると、局所推定では約2.7514%、28.28ドル下がり、価格は約999.47ドルです。100bp下がる場合は約28.28ドル上がって、約1,056.03ドルと推定されます。
今度は直線近似を使わず、新しい利回りでキャッシュフローを割り引きます。5%では価格は1,000ドルで、約27.75ドル、2.70%下落します。3%では約1,056.57ドルとなり、約28.82ドル、2.80%上昇します。価格と利回りの関係が曲線なので、上下の変化は対称ではありません。デュレーションは局所推定を示し、凸性は大きな変化における二次の差を説明します。数値はキャッシュフロー一定、年複利、同一の評価慣行を仮定した例で、市場価格や予測ではありません。続きは債券のコンベクシティと価格感応度を参照してください。
この例のマコーレーと修正デュレーションは利回りベースです。基準カーブやショック評価モデルを指定していないため、実効デュレーションは計算していません。実効デュレーションには、定義した基準カーブの各シナリオでの再評価が必要です。キャッシュフローが変わる場合、上昇・低下の双方で一貫した行使と期限前返済の前提を使います。
問いに合わせて指標を選ぶ
予定キャッシュフローの現在価値が平均していつ受け取られるかにはマコーレーを使います。固定キャッシュフロー債券の自身の利回りが小さく動くときの価格変化率には、複利慣行を明示した修正デュレーションを使います。基準カーブを動かし、金利に応じてキャッシュフローが変わる場合は実効デュレーションを検討します。いずれも金利方向を予測しません。
ポートフォリオの集計値は通常、時価ウェイトと提供者の慣行に依存します。一つの実効デュレーションは定義した広いカーブ変化をまとめますが、ねじれや局所変化を隠すことがあります。キーレート・デュレーションは選択した年限ごとの感応度を示します。1bp当たりの金額が必要ならDV01とBPVを参照してください。信用スプレッド、流動性、インフレ、為替、オプション性は別途分析が必要な場合があり、基準金利デュレーションだけでは債券リスク全体を測れません。
債券の特徴も結果に影響します。標準的なオプションのない固定利付債では、他の条件が同じなら、より遅いキャッシュフローがデュレーションを長くし、クーポンや利回りが高いと早い支払いの現在価値比率が増えて短くなる傾向があります。満期が近づけば残るキャッシュフローも変わるため、デュレーションは固定ではありません。金利低下時、コーラブル債では発行体の償還が価格上昇を抑えることがあります。変動利付債は定期的なクーポンリセットにより似た満期の固定利付債より金利感応度が低い場合がありますが、信用スプレッド、リセット遅延、フロア、流動性のリスクは残ります。これは前提下の仕組みで、普遍的な順位ではありません。{source:cfaYieldBasedBondDuration2026} {source:finraDurationExplainer}
公表値を比べる前に定義を確認する
二つの資料が「duration」と表示していても異なる量を測っていることがあります。対象、評価日、フル価格かクリーン価格か、利回りまたは基準カーブ、複利頻度、ショック幅、平行・非平行の別、オプションモデル、キャッシュフローを固定するか再計算するかを記録します。ドル指標ならポジション規模と通貨もそろえます。入力が異なる場合、同じ基準の数値として扱う前に差を説明します。
価格感応度は期待総収益でもありません。クーポン収入、再投資、信用変化、スプレッド変化、取引費用、税、ポートフォリオ変更などの実現収益要因すべてを含みません。定義された起点とモデルに条件づけられた感応度です。ファンド資料や分析画面の定義と基準日を確認し、契約上の条件は目論見書や証券書類で確認してください。デュレーションが低いことは全体リスクが低いという意味でも、将来損失の予測でもありません。{source:finraDurationExplainer} {source:cmeTreasuryRiskMeasurement}
よくある質問
Q1マコーレーデュレーションは債券の満期と同じですか?
いいえ。満期は元本返済の契約日です。マコーレーデュレーションは予定キャッシュフロー時点の現在価値加重平均で、クーポン債では通常満期より短くなります。
Q2実効デュレーションは常に修正デュレーションより優れていますか?
いいえ。実効デュレーションは定義した基準カーブのシナリオ、特に金利でキャッシュフローが変わる商品向けです。固定キャッシュフローで債券自身の利回り感応度をみるなら、修正デュレーションが直接的です。
Q3利回りが100bp動いた後の正確な価格をデュレーションで計算できますか?
デュレーションだけではできません。修正デュレーションは局所的な一次近似です。大きな変化には凸性調整や再評価が必要な場合があり、実効デュレーションはカーブショックと評価モデルにも依存します。
出典
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問題 01
通常のクーポン債でマコーレーデュレーションが表すものは何ですか?
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