暗号資産の線形・インバース無期限契約:損益と決済通貨
同じ想定元本の例を使い、線形とインバースの損益、コイン決済、担保リスクを比較し、商品仕様で確認する項目を整理します。
このガイドの内容線形とインバースが表すもの
短い要約
線形無期限契約では、通常、コイン数量と価格変動から損益を算出し、建値通貨で決済します。固定された建値通貨の額面を持つインバース契約では、価格の逆数を使って基礎コイン建ての損益を計算することが一般的です。ただし名称だけでは、担保、手数料、価格参照元、清算ルールは分かりません。銘柄の仕様と口座規約を確認してください。
線形とインバースが表すもの
この用語は、契約がエクスポージャーをどう表現し、価格損益をどう計算するかを示します。一般的な線形商品では、ポジションは基礎コインの数量で表されます。価格変動に比例して損益が動き、通常はUSDTなどの建値通貨で支払われます。BTCUSDTの仮想的なポジションが0.2 BTCを表すなら、BTCが1,000ドル動くと、手数料とファンディングを除く総損益は200ドル変化します。
一般的なインバース商品では、契約ごとのUSD額面など、建値通貨の固定額を定めます。一方、損益は基礎コインで計算・決済され、式には価格の逆数の差が入ります。額面1万ドルのBTCUSDポジションは、1万ドルや0.2 BTCをそのまま受け取る約束ではありません。コイン建ての結果は、建値、決済価格、売買方向、契約乗数で決まります。
各取引所で同じ仕様を意味する統一名称ではありません。「コイン建て」はインバース契約を指すことがありますが、担保の呼び名だけで支払式は判断できません。銘柄、契約価値、乗数、建値通貨、損益通貨、証拠金ルールをまとめて確認しましょう。
線形損益は数量と価格差の積
単純化した線形契約では、qを符号付きの基礎資産数量とします。ロングは正、ショートは負です。P₀は建値、P₁は決済または評価価格です。建値通貨での総価格損益は次のとおりです。
損益 = q × (P₁ − P₀)
0.20 BTCの仮想的なBTCUSDTロングを50,000ドルで建てたとします。55,000ドルで決済すると仮定した場合、総損益は0.20 × (55,000 − 50,000) = 1,000 USDTです。45,000ドルなら、0.20 × (45,000 − 50,000) = −1,000 USDTです。数量は同じままで、価格変動の方向と大きさによって結果が変わります。
ショートはqを負にするか、価格差を建値 − 決済価格にします。50,000ドルで建てた0.20 BTCの仮想ショートを45,000ドルで評価すれば、この簡略モデルでは総利益が1,000ドルです。55,000ドルなら総損失が1,000ドルです。
これは仕組みを示す式であり、すべての取引所計算機の再現ではありません。契約単位と乗数、平均建値、部分決済、マーク価格、丸め、決済ルールによって表示値が変わります。BybitのUSDT契約損益ガイドは同社の例で数量×価格差を使っています。数量1単位が何を表すかは商品仕様で確認してください。
インバース損益は逆数価格を使い、コインで決済
単純化したインバース契約では、Nを契約乗数を含む建値通貨の総額面とします。dはロングなら+1、ショートなら−1です。P₀とP₁はコイン1単位あたりの建値通貨建て価格です。基礎コイン建ての総損益は次のとおりです。
コイン建て損益 = d × N × (1/P₀ − 1/P₁)
額面1万ドルのBTCUSDロングを50,000ドルで建て、55,000ドルで決済すると、コイン損益は10,000 × (1/50,000 − 1/55,000) ≈ 0.0181818 BTCです。式が返すのはドルではなくBTCです。仮定した決済価格55,000ドルで評価すると約1,000ドル相当です。この換算はその価格でBTCの価値を評価するもので、決済されたBTC数量を変えません。
45,000ドルで決済する場合は、10,000 × (1/50,000 − 1/45,000) ≈ −0.0222222 BTCで、45,000ドルで換算すると約−1,000ドルです。ドル換算した利益と損失が対称に見えても、BTCの数量は一致しません。高い価格での1,000ドル利益は、低い価格での同額損失より少ないBTCで表されます。
額面と乗数は個別の商品仕様に従います。Binanceの損益ガイドはBTC COIN-Mの例で契約ごとの固定USD額を示し、BTC建てでインバース損益を計算しています。Bybitのインバース契約損益ガイドも逆数価格とコイン建ての結果を示します。どちらも自社商品の例であり、全取引所共通の仕様ではありません。

表示数量ではなく、建てたときの想定元本を合わせる
上の例はどちらも、BTCが50,000ドルのときに想定元本を1万ドルに合わせています。線形は0.20 BTC × 50,000ドル、インバースは額面1万ドルです。計算を比べやすくするための前提であり、数量の単位は異なります。
| 仮定するBTC価格 | 線形:0.20 BTCロング | インバース:額面1万ドルのロング |
|---|---|---|
| 50,000ドルで建てる | 参照想定元本:1万ドル | 額面:1万ドル |
| 55,000ドルで決済 | 総損益 +1,000 USDT | +0.0181818 BTC、55,000ドルで約+1,000ドル |
| 45,000ドルで決済 | 総損益 −1,000 USDT | −0.0222222 BTC、45,000ドルで約−1,000ドル |
表は手数料、ファンディング、スプレッド、スリッページなどを含まない仮定上の総価格損益です。建値通貨への換算には各決済価格を使っています。別の商品を比べるときは建てた時点の想定元本を合わせ、換算価格も記録しましょう。乗数が違う商品では「契約1枚」や「コイン1枚」だけの比較に意味がない場合があります。
式でも確認できます。インバース損益をP₁で建値通貨に換算すると d × N × (P₁/P₀ − 1) になります。建てた時点で線形数量をN/P₀にすると、同じ価格での単純化した建値通貨損益は一致します。実務上の違いは決済後に受け取り保有する単位、担保と証拠金のルールです。インバースなら常にドル損益が大きい、または小さいという意味ではありません。
コイン決済では損益計算後も価格リスクが残る
上のインバースロングが0.0181818 BTCの利益を実現し、口座がBTCを保有し続けるとします。後日の参照価格が50,000ドルなら約909.09ドル相当、60,000ドルなら約1,090.91ドル相当です。実現したBTC数量は変わらず、決済資産の価格が変わるため後日のドル価値が動きます。
口座は利益をコインで表示する一方、支出やリスク上限をドルなどで管理する場合に、この違いが重要です。損益式は「契約ルールで何枚の決済コインが生じたか」に答えます。後日の換算は「そのコイン残高がその時点の価格でいくらか」に答えます。換算価格を記録せずにひとつの数字にまとめると、別の市場リスクが見えにくくなります。
損失も同じです。−0.0222222 BTCの建値通貨換算額は、どの価格を使うかで変わります。担保として保有するコインの価値も同時に動くことがあります。ポジション損益、コイン残高、担保評価額、ステーブルコインへの換算を帳簿で分けてください。
ペイオフ構造と担保は別々に確認する
線形契約はすべてステーブルコインのみで担保し、インバース契約はすべて基礎コインのみで担保すると思い込まないでください。ペイオフ式、損益の決済通貨、口座が担保として認める資産は別の項目です。
Bybitは自社のUSDT無期限契約の損益をUSDTで決済すると説明しています。一方、Unified Trading Accountでは、クロスマージンまたはポートフォリオマージンの規則に従い、他の対応資産を担保として使える場合があります。したがってUSDT決済でも担保価値がBTCなどの価格変動から切り離されるとは限りません。インバース商品の基礎コイン決済は損益の単位を決めますが、証拠金プール、担保掛け目、借入、強制決済は口座と商品に左右されます。 商品固有の詳細は、BybitのUSDT無期限契約ガイドで確認できます。
0.10 BTCを担保にしてインバースロングを保有する例を考えます。BTCが50,000ドルなら単純な参照価値は5,000ドルです。45,000ドルに下がると、掛け目などを考慮する前でも同じ0.10 BTCは4,500ドル相当になります。契約式によってポジションもコイン損失を出すなら、損益と担保評価の両方が口座資産に影響します。これは清算価格の計算ではなく、仕組みを分けて示す例です。BTCを担保にしたクロスマージンの線形契約も、損益はUSDT決済でもBTC担保価値の下落にさらされます。
どちらかの構造が常に安全という結論にはなりません。ポジション、担保、決済後に保有する資産など、複数の経路から基礎コインの価格にさらされることがあります。分離・クロスマージン、利用可能な担保、掛け目、リスク階層、強制決済ルールによって結果が変わります。
レバレッジは総損益の倍率ではない
数量、建値、決済価格が同じなら、レバレッジを上げてもどちらの式の総価格損益も倍率で増えません。取引所が要求する初期証拠金が変わり、証拠金に対する収益率の分母が小さくなることがあります。分母が小さくなって表示率が上がることと、総損益が増えることは別です。
実際の口座損益には、建て・決済の手数料、ファンディング、スプレッド、スリッページ、決済費用、商品固有の調整が入る場合があります。未実現損益はマーク価格、実現損益は約定価格や取引所が定めた別の価格を使うことがあります。画面の価格項目を確認してください。マーク価格による推定値で同じ価格で決済できるとは限りません。
部分決済では、手数料やファンディングが閉じた数量に配分され、残ったポジションの平均建値が更新される場合があります。一般式だけで口座の最終損益と見なさず、取引履歴と商品固有の損益明細を照合しましょう。
取引所の表示を比べる前のチェックリスト
線形またはインバース無期限契約を比べたり利用したりする前に、銘柄を特定して次を確認します。
- 数量1単位の意味: 基礎コイン数量、建値通貨の額面、または乗数付き契約数か
- ペイオフ式: 数量×価格差、逆数価格、または商品固有の別計算か
- 損益の決済通貨: 銘柄名や担保記号から推測しない
- 利用できる担保: 掛け目、換算価格、借入、証拠金モード、残高共有
- 画面が使う価格: マーク、指数、最終約定、実際の約定、定義済み決済価格
- 損益に含める費用: 両側の取引手数料、対象となるファンディング、スプレッドやスリッページを二重計上せずに整理する
- 比較の前提: 建てたときの想定元本、売買方向、決済想定、担保、換算時刻を合わせる
役立つ比較は、エクスポージャーを管理する通貨と決済資産の使い道から始めます。損益をステーブルコインで把握する必要がある人は、建値通貨のペイオフと決済ルールを確認できます。コイン建ての債務を管理する人は、そのコインで損益を受け取る構造に関心があるかもしれません。どちらも価格、取引所、流動性、担保、清算のリスクをなくすものではありません。このガイドは仕組みを比較するもので、取引所、レバレッジ、取引を推奨しません。
詳しくは暗号資産無期限契約のガイド、証拠金のガイド、取引コストのガイド、マーク価格のガイドも参照してください。
よくある質問
Q1レバレッジを上げると線形・インバースの総損益は増えますか?
いいえ。ポジション数量と価格経路が同じなら、単純化した総価格損益は変わりません。レバレッジは証拠金、証拠金収益率、清算リスクを変えます。
Q2線形無期限契約はすべてUSDTだけを担保にしますか?
いいえ。クロスまたはポートフォリオ証拠金では、損益がUSDT決済でも対応する別資産を担保にできる場合があります。口座規則を確認してください。
Q3インバース損益のドル価値が後から変わるのはなぜですか?
損益が基礎コインで実現することがあります。口座に保有したままなら数量が同じでもコイン価格に応じてドル価値が変わります。
出典
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問題 01
一般的なインバース契約の主な単位の違いは何ですか?
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