先物ヘッジの損益と実効価格の計算方法
現物取引と先物損益を組み合わせてヘッジ後の実効価格を計算する方法を、ベーシス変化、コスト、日次値洗いとともに解説します。
要点
先物ヘッジの結果は、現物取引と先物損益をまず別々に計算し、同じ符号ルールで合算します。ベーシス、数量、時期、コストが変われば、最終的な実効価格は当初の目標と異なります。
ヘッジには二つの経済的な脚があります
先物側の損益だけでヘッジを評価してはいけません。
ショート先物ヘッジでは現物が上昇すると先物損失が出ても、現物価値は上がります。ロング先物ヘッジでは逆の組み合わせが起こり得ます。
重要なのは、合計結果が望ましくない価格変動をどれだけ減らしたかです。
先物ヘッジ比率とベーシスリスクは契約サイズと不一致を説明します。
最初に符号とベーシス定義を決めます
ベーシスの定義は市場で異なるため、計算前に明記します。
この例ではベーシス = 現物価格 - 先物価格とします。
ショートヘッジの1単位当たり先物利益は、先物の開始価格 - 終了価格です。ロングでは逆です。
ベーシス定義だけ変えて式を変えないと、解釈が逆転することがあります。
計算例:ショートヘッジの実効売却価格
100単位の資産を同じ規模の先物エクスポージャーでヘッジするとします。
開始時の現物は98、先物は100なのでベーシスは-2です。
終了時に現物を91で売り、先物を92で買い戻すと、ショート先物利益は1単位当たり100 - 92 = 8です。
現物代金は91 × 100 = 9,100、先物利益は8 × 100 = 800です。
コスト前の合計は9,900で、1単位当たり実効売却価格は99です。
総取引コストが30なら純受取額は9,870、実効売却価格は1単位当たり98.70です。
開始ベーシス-2が続けば98が目安です。終了ベーシスは-1なので1だけ強まり、コスト前結果は1単位当たり1改善しました。 [!TRYMARK] ヘッジ照合チェックポイント 9月18日に現物91、先物開始100、先物終了92、数量100、コスト30を記録し、現物代金、先物損益、純受取額、実効価格を別々に再計算します。
ロングヘッジは先物損益の符号が逆です
価格上昇を避けたい買い手は、エクスポージャーに合う場合にロング先物ヘッジを使えます。
ロングヘッジの1単位当たり先物利益は、終了先物価格 - 開始先物価格です。
単純な実効購入価格は、コスト前なら現物購入価格 - 1単位当たり先物利益です。
先物が損失なら利益は負になるため、負の値を引くことで実効購入コストは上がります。
日次値洗いはキャッシュフローの時期を変えます
先物損益は現物取引日まで待たず、日次値洗いで精算されます。
ポジション変更がなければ、日々の変動精算の合計は手数料、丸め、契約ルールを調整した最終先物損益とつながるはずです。
先物の変動証拠金は現物取引前に先物の現金移動が起こる理由を説明します。
ヘッジが経済的に有効でも、現物側の相殺効果が実現する前に先物損失で途中の資金が必要になる場合があります。
実務チェックリストで照合します
本稿は単純化した経済例のヘッジ計算を説明します。実際の契約、会計、税務、ブローカー明細は異なるルールに従う場合があります。
- 現物エクスポージャーの数量と時期を記録する
- 先物の開始価格、終了価格、乗数、契約数を記録する
- ヘッジ方向とベーシス定義を明記する
- 現物結果と先物損益を別々に計算する
- 手数料、取引所費用、スリッページ、為替換算を含める
- ヘッジ中の数量や時期の変更を確認する
- 同じ定義で開始と終了のベーシスを比較する
- 日次変動精算を最終先物損益と照合する
よくある質問
ショート先物ヘッジ後の実効価格はどう計算しますか?
単純には現物売却価格に1単位当たりショート先物利益を加え、手数料と数量の不一致を調整します。
最終ヘッジ価格が当初の予想と違うのはなぜですか?
ベーシス変化、数量差、終了時期、取引コスト、スリッページにより、二つの脚を合算した結果が変わるためです。
先物損益は現物価格に足しますか、引きますか?
方向で変わります。ショートヘッジの先物利益は通常売却代金に加え、ロングヘッジの先物利益は実効購入コストから引きます。
日次変動証拠金は総ヘッジ損益を変えますか?
日次精算は現金移動の時期を変えます。正しく照合すれば、累積変動精算は手数料や丸めなどを調整した先物損益につながります。