季節調整済みデータと未調整データ:SA・NSA・SAARの違い
季節調整が繰り返す暦のパターンをどう扱うか、SAとNSAをどう比較するか、SAARが予測値ではない理由を解説します。
このガイドの内容季節調整は何をするのですか?
短い要約
季節調整済みデータは、繰り返す暦のパターンを推定して取り除き、隣り合う月や四半期を比較しやすくします。季節調整なしのデータにはそうしたパターンが残るため、季節変動そのものを調べるのに役立ちます。どちらかが常に優れているわけではなく、季節調整をしても異例の出来事や短期的な変動がすべて消えるわけではありません。SAARは年率で表示する慣例を加えたもので、1か月や1四半期の観測値を予測に変えるものではありません。
季節調整は何をするのですか?
経済活動は暦に沿って予測可能な動きをすることがあります。年末休暇の前に小売業の採用が増えたり、寒い時期に建設が鈍ったり、自動車工場がモデル切り替えに合わせて生産日程を変えたりします。こうした影響が繰り返されると、基調となるペースがほとんど変わっていなくても、ある月が前後の月より強く、または弱く見えることがあります。
季節調整では、系列に含まれる繰り返しの季節効果を推定し、公表する調整済み系列から取り除きます。統計機関は方法に応じて、曜日の構成の違いや日付が動く祝日のような、予測可能な暦の影響も考慮することがあります。目的は月次・四半期の動きを読み取りやすくすることであり、実際の経済活動を消したり、完全に滑らかなトレンドを作ったりすることではありません。米労働統計局(BLS)は季節調整を繰り返す季節要因の除去として説明し、米国勢調査局は時系列の非季節的な特徴を見えやすくすると説明しています。[BLSの季節調整の概要]({source:blsSeasonalAdjustmentOverview})と[国勢調査局の季節調整FAQ]({source:censusSeasonalAdjustmentFaq})を参照してください。
季節調整はインフレ調整とは異なります。季節調整済みの系列でも、その時点のドル額で測る名目値であり得ます。反対に、物価変動を反映した実質系列も、季節調整の有無を別に持ちます。物価、生産、所得、支出の統計を見るときは、両方の区分を確認してください。
季節効果と景気循環は同じものではありません。毎年夏に繰り返す生産減少は季節パターンかもしれませんが、数四半期続く減速は景気循環や別のショックに関係している可能性があります。季節調整が両者を完全に区別するわけではないため、経済上の出来事や他の指標も確認してください。
SAとNSAのデータはどう違いますか?
SAは季節調整済み(seasonally adjusted)、NSAは季節調整なし(not seasonally adjusted)を意味します。公表資料では、NSAを未調整データや原系列と呼ぶこともあります。通常は同じ経済系列を異なる形で示し、比較に関する別々の問いに答えます。
| 区分 | 示す内容 | 役立つ問い |
|---|---|---|
| NSAまたは未調整 | 繰り返す季節パターンを含む公表値の動き | 今年の年末商戦期の採用は、過去の年末商戦期と比べてどうか? |
| SAまたは季節調整済み | 推定された季節効果を除いた後の動き | 通常の季節パターンを超えて、直近の月から活動が変化したか? |
調整済みの数値は、別の調査をもう一度実施して得るのではなく、系列と統計機関の手法に基づく推定値です。月ごとに推定される季節効果の大きさが異なるため、未調整値とは違う動きを示すことがあります。BLSの説明では、どちらか一方が常に適切とは限りません。季節的な採用を異なる年の同じ時期で比べるなら未調整データが向くことがあり、最近の月次変化を見るなら調整済みデータが役立つことがあります。[調整済み・未調整CPIデータの使い方に関するBLSの案内]({source:blsCpiSeasonalDataUse})は、CPIに即した例です。他の統計にも一般化する前に、各公表資料の説明を確認してください。
SAが上昇し、NSAが低下することはありますか?
調整では各期間の暦のパターンを推定するため、比較の仕方が変わります。加法型の季節効果を使う、単純化した仮の系列を考えてみましょう。A月の観測値が100で、そのうち推定された季節効果が15なら、調整値は85です。B月の観測値が108で、季節効果が25と推定されるなら、調整値は83です。
この例では未調整系列が8上がる一方、調整済み系列は2下がります。B月に通常見込まれる季節的な押し上げが、より大きいと推定されるためです。調整済み系列の変化は、観測された上昇が通常の暦のパターンを上回ったかを示します。数値は計算方法を説明するための仮定であり、公表された指標の実績ではありません。
この引き算は加法型調整を説明するためだけの例です。多くの系列では乗法型の要因を使い、元の値を要因で割って調整値を計算します。季節、曜日、移動祝日の影響を組み合わせる方法もあります。したがって、動きの方向が変わっただけで統計機関の誤りや景気の急反転を示すとは限りません。国勢調査局のFAQによると、調整済み系列と未調整系列が逆方向に動くことは珍しくありません。季節要因や公表資料全体と合わせて解釈してください。{source:censusSeasonalAdjustmentFaq}
差の大きさも見てください。調整値がわずかに下がっただけで、経済活動の方向が明確に変わったとは言えません。標本規模、過去データの改定、丸め、季節要因の推定に伴う不確実性がいずれも影響します。表示される小数桁は計算結果の表示精度であり、同じ程度の確実性を示すものではありません。
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季節要因はどのように推定されますか?
季節要因は特定の時系列の過去データから推定されます。統計的な手法で、年の同じ頃に繰り返すパターンを長期的な動きや不規則な変動と区別します。系列を季節、トレンド・循環、不規則の各要素に分けて表すことがあります。調整済み系列では通常、推定した季節要素を取り除き、季節以外の動きや不規則なショックは残します。
毎年同じ割合を機械的に差し引くとは限りません。固定額の加法効果が合う系列もあれば、系列の水準に応じて大きさが変わる乗法要因が合う系列もあります。必要に応じて、曜日効果やイースターのような移動祝日も推定します。国勢調査局は季節調整ソフトウェアX-13ARIMA-SEATSを維持し、残る季節性や調整の安定性を診断する方法を説明しています。これはツールと手法群の説明であり、すべての連邦統計が同じ設定を使うという意味ではありません。個別系列の方法論を確認してください。{source:censusSeasonalAdjustmentFaq}
暦は推定値に影響する要素の一つにすぎません。突然のストライキ、異常気象、パンデミックによる混乱、標本誤差、特定企業のショックなどは、不規則な動きとして調整済み系列に残ることがあります。異常値や暦の影響を別にモデル化する機関もありますが、季節調整によって観測値の不確実性がなくなるわけではありません。グラフが滑らかでも、観測できないトレンドを直接測定したことにはなりません。
季節調整を適用するかどうかの統計的な基準は、系列によって異なることがあります。統計機関は、季節性が十分に明確かつ安定して繰り返されているかを検討します。そのため、同じ機関が公表する系列でも、すべての内訳がSAで提供されるとは限りません。一部の内訳がNSAで合計がSAの場合、調整状況の異なる値を単純に足しても公表された合計を再現できないことがあります。 足し合わせたり比較したりする前に、各系列の調整状況と合計値の集計方法を確認してください。
SAARは何を意味しますか?
SAARは季節調整済み年率(seasonally adjusted annual rate)を意味します。二つの考え方を組み合わせた用語です。季節調整は繰り返す暦の影響を推定して除き、年率表示は期間ごとの調整済み水準や伸びを年単位で比較できる形にします。現在の月のペースが1年間続くという意味ではありません。
例えば、国勢調査局は一部の月次建築許可統計を季節調整済み年率で公表しています。調整済みの月間ペースが仮に8,000件なら、SAARは8,000に12を掛けた96,000件です。年率にすることで、当月の推定値を年間合計と比べやすくなります。その月に96,000件が許可されたという意味でも、今後1年間に96,000件許可されるという予測でもありません。この説明は[国勢調査局の建築許可方法論]({source:censusBuildingPermitsMethodology})に基づく仮の数値例です。
四半期GDP成長率の年率表示は関連しますが、計算は別です。米経済分析局(BEA)は四半期の変化率を4四半期分複利で計算し、観測された変化を単純に4倍するわけではありません。年率表示の季節調整済みGDP水準、年率換算した四半期成長率、年間予測はそれぞれ異なるものです。四半期成長率の計算は[BEAの年率に関するFAQ]({source:beaQuarterlyAnnualRates})を参照してください。成長率の比較については実質GDP成長率の読み方をご覧ください。
季節調整済みデータは後から改定されますか?
はい。季節要因は推定値なので、新しい観測値によって繰り返しパターンの推定が変わることがあります。統計機関は、新しいデータに合わせて調整を再計算したり、予定に沿って過去の調整値を改定したり、未調整の元データの改定に応じて調整値を更新したりします。改定の頻度や対象期間は統計プログラムによって異なります。
例えばBLSは、季節調整済みCPIの季節要因を毎年再計算し、過去5年分までの調整済み指数を改定することがあります。これはCPIプログラムの説明であり、米国のすべてのデータセットに共通する改定ルールではありません。BLSは個々のCPI系列に季節調整が引き続き必要かどうかも再評価します。[CPIの季節調整に関するページ]({source:blsCpiSeasonalDataUse})に、現在の手順と改定期間が記載されています。
グラフを再現するときは、系列識別子、季節調整の有無、公表日、データのビンテージを記録してください。公表当時に利用できた値で作ったリアルタイムのグラフは、後日ダウンロードした値のグラフと異なることがあります。季節パターンや後の改定を調べる場合は、元データと調整値を区別して保存してください。
改定で以前の解釈が自動的に覆るわけではありませんが、最初の動きが小さい場合や転換点に近い場合には重要になり得ます。発表当時の数値を引用するときは、元の公表資料を保存し、その時点で利用可能だった値だと明記してください。現在の値を分析する場合は、最新のデータを使ったと記し、ビンテージデータや季節要因表が利用できるなら併せて保存します。
SAとNSAはどんなときに使えばよいですか?
統計機関が適切な調整系列を公表していて、直近の月や四半期からの動きが知りたい場合は、季節調整済みデータを使います。予想される季節パターンを除くことで、新たな転換点が見えやすくなることがあります。ただし、残った変化が統計的に意味のあるものだと証明されるわけではなく、短期推定にはノイズが残り得ます。
繰り返す季節サイクル自体を調べたい場合はNSAデータを使います。例えば複数年の10月から12月までの小売業の採用を比べれば、年末商戦期がどう変わったかを把握できます。同じ月を前年と比べる方法も安定した季節サイクルの影響を抑えますが、日付が動く祝日、曜日数の違い、季節パターンの変化は残ることがあります。統計の方法論を確認し、問いに合う版を選んでください。
SAとNSAの観測値の差を経済的な利益や損失のように比較しないでください。同じ系列、単位、頻度、対象人口または産業範囲、調整状況をそろえます。インフレの問いではCPI・PCE・GDPデフレーターの比較も確認してください。消費支出については、季節調整以外の理由で関連する公表値が異なる場合を小売売上高とPCEで説明しています。
経済統計を読み違えないためには?
まず、正確な系列名と出典を確認してください。表示値が季節調整済みか、季節調整なしなのか、あるいは一方の形式しかないのかを確かめます。次に、値が水準、ドルの変化額、変化率、比率、指数、件数のどれを表すかを見ます。表の見出しには月次・四半期の頻度や年率表示も示されていることがあります。
次に、問いに合う比較期間を選びます。前月比のSAの動きは推定季節効果を除いた後の変化を示し、同じ月のNSA比較には季節サイクルが残ります。前年比は1年間隔の変化を示し、SAARは定められた方法で期間のペースを年率に換算します。これらの表示は同じ意味ではありません。住宅着工のSAAR、GDPの年率換算成長率、月次CPI変化はいずれも年率に関係する表現ですが、計算方法は異なります。
最後に、改定、祝日、季節調整の対象かどうか、異例の出来事について、出典の技術注記を読みます。景気全体の流れを知りたい場合でも、単月の調整済み変化を確定的な転換点と見なさないでください。繰り返す暦期間の動きが問いなら、NSAの季節パターンを無視しないでください。系列を特定し、比較の目的に合わせてSAかNSAを選び、頻度・単位・データのビンテージを記録すると、表示方法による混乱を減らせます。
SAとNSAが反対方向に動く場合は、まず同じ系列・頻度・単位・比較期間を見ているか確認してください。次に、推定された季節要因、移動祝日や曜日数の違い、異例の出来事、元データの改定を調べます。差が残る場合は、どちらかを誤りと決めつけず、それぞれのデータが答える問いを説明してください。
よくある質問
Q1季節調整済みデータはNSAデータより正確ですか?
必ずしもそうではありません。SAとNSAは異なる問いに答えます。季節調整は季節以外の動きを比較しやすくするための推定値であり、NSAデータには観測された繰り返しの暦パターンが残ります。比較の目的に合う版を選び、統計機関の手法を確認してください。
Q2SAARは現在のペースが1年間続くという意味ですか?
いいえ。SAARは季節調整済みの月または四半期を、定められた慣例で年率表示したものです。短期間のペースを年間合計と比べるのに役立ちますが、そのペースが続くという予測や約束ではありません。
Q3ダウンロード後に調整済みの値が変わったのはなぜですか?
統計機関は元データを改定したり、観測値が増えた後に季節要因を再推定したり、予定された年次改定を公表したりすることがあります。ルールは系列ごとに異なるため、公表資料を確認し、分析に使った日付やビンテージを記録してください。
出典
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問題 01
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