サーム・ルールとは?景気後退シグナルの仕組み
サーム・ルールの式と0.50%ポイントの基準、リアルタイム値と改定後の値の違い、景気後退を保証する予測ではない理由を解説します。
このガイドの内容1. サーム・ルールは何を測るのか
短い要約
サーム・ルールは、米国のU-3失業率の直近3か月平均を、その前の12か月における3か月平均の最低値と比べます。差が0.50%ポイント以上になると基準に達します。雇用データを使った指標であり、景気後退を保証するものでも、かなり前から予測するものでもありません。
1. サーム・ルールは何を測るのか
サーム・ルールは、失業率が最近の低い水準から十分に上昇したかを見るための基準です。米国の季節調整済み全国U-3失業率を使い、その値は毎月の家計調査 Current Population Survey(CPS)から得られます。U-3は、BLSの定義に基づいて失業者を労働力人口と比較する指標です。[CPSの概念と定義]({source:blsCpsConcepts})では、誰が失業者に分類されるかを確認できます。
このルールが要約するのは、移動期間における一つの労働市場指標の変化です。経済全体の状態を測るものではありません。生産、所得、雇用などの情報とあわせて読み、単独で景気後退を宣言する値として扱わないことが大切です。
2. 計算式と基準値
各月について、季節調整済みU-3の直近3か月平均を求めます。その値から、直前12か月に観測された3か月平均のうち最も低い値を引きます。
サーム・ルールの値 = 直近3か月のU-3平均 − 直前12か月における3か月平均の最低値
差が0.50%ポイント以上なら基準に達したとします。単位の区別が重要です。3.80%から4.30%への上昇は0.50%ポイントであり、基準値に対する相対的な0.50%の上昇ではありません。[FREDのリアルタイム系列]({source:fredSahmRealTime})は、その時点で利用できたデータにこのルールを適用します。
3. 仮定の数値で計算してみる
直近の平均を作る季節調整済みU-3が4.2%、4.3%、4.4%だと仮定します。3か月平均は4.30%です。比較対象の期間で最も低い3か月平均が3.80%だと仮定すると、差は4.30% − 3.80% = 0.50%ポイントとなり、ちょうど基準に達します。
| 計算項目 | 仮定の値 |
|---|---|
| 直近3か月のU-3平均 | 4.30% |
| 比較期間で最も低い3か月平均 | 3.80% |
| サーム・ルールの差 | 0.50%ポイント |
表の値は計算を説明するために作った仮定であり、現在の数値でも、特定月の公式データでも、基準が実際に達成されたという主張でもありません。3か月の期間は重なるため、連続する月の平均には同じ観測値が一部含まれます。

4. 12か月の移動期間を使う理由
比較対象は、失業率が最も低かった単独の月ではありません。現在の3か月平均に先行する12か月の中から、3か月平均の最低値を選びます。平均を使うことで単月の振れの影響を抑え、直近の比較的良好な雇用状況からどれだけ上昇したかを測ります。
新しい月のデータが加わるたびに直近平均が更新され、比較期間も移動します。過去の3か月平均が12か月の窓に入ったり外れたりすると、基準となる最低値も変わることがあります。そのため、ルールの値には最近のU-3だけでなく、比較対象の最低値が窓のどこにあるかも反映されます。
5. SAHMREALTIMEとSAHMCURRENTの違い
FREDの[SAHMREALTIME]({source:fredSahmRealTime})は、各月に利用できたデータと公表履歴を使って指標を作成します。[SAHMCURRENT]({source:fredSahmCurrent})は同じ式を、現在改定済みのデータ履歴に適用します。前者は「当時何が分かっていたか」、後者は「現時点で改定済みの履歴を使うとどう計算されるか」という別々の問いに答えます。
季節調整済みのU-3は、年次の季節要因改定後に値が変わることがあります。そのため、現在表示される最近の値や過去の値が、当時の観察者が見た数値と一致するとは限りません。BLSは[CPSの季節調整方法]({source:blsCpsSeasonalAdjustment})を説明しています。引用する際は系列名、参照した日付やデータのビンテージ、リアルタイム値か改定済みかを明記してください。
6. 基準を超えると何を意味し、何は分からないのか
0.50%ポイント以上の差は、このルール上、3か月平均のU-3が最近の最低値から相応に上昇したことを示します。労働市場の弱まりを確認する手掛かりにはなりますが、かなり先の景気後退を予測するものではありません。景気後退が必ず起きることも、失業率が上がった原因も、それだけでは分かりません。
基準の到達を、景気後退の公式な日付決定と混同しないでください。データは改定され、一つの指標が経済活動のすべてを表すわけではなく、景気循環ごとに状況も異なります。このルールは透明な監視指標として有用ですが、幅広い指標の評価を置き換えるものではありません。
7. 提案の由来と給付への自動適用
Claudia Sahmは2019年、景気悪化に応じて刺激策の給付を自動的に行う仕組みの政策提案で、失業率に基づく基準を提示しました。事前に定めたルールで景気後退への対応を早めるという考え方です。[Hamilton Projectの政策提案]({source:hamiltonSahmProposal})はその設計案を説明するもので、法律そのものでも、基準到達時に給付を許可する決定でもありません。
NBERによる景気後退の判定は、別個の事後的な作業です。委員会は複数の指標を用い、経済活動の大幅で広範な落ち込みを評価します。サーム・ルールの値を公式判定の式として使うわけではありません。[NBERの景気循環日付決定に関するFAQ]({source:nberBusinessCycleDatingFAQ})に手順があります。したがって、基準を超えてもNBERの宣言が直ちに出るとは限らず、その宣言もFRED系列の機械的な追認ではありません。
8. 数値を慎重に読む手順
まずU-3の定義、季節調整の有無、対象月、データの版を確認します。次に、比較期間の3か月平均の最低値との差を計算し、単位を%ポイントと記します。基準に近い数値では、標本調査の不確実性と改定を考慮して、どの時点のデータを使ったかを明示しましょう。
そのうえで、ほかの統計と組み合わせます。ソフトランディングと景気後退の解説は減速と広範な縮小の違いを、ベバリッジ曲線の解説は求人と失業の関係を、U-3とU-6の比較はより広い失業・労働力未活用の測り方を扱います。各記事は補足的な文脈を与えますが、サーム・ルールを予測や自動的な政策判断に変えるものではありません。
よくある質問
Q1サーム・ルールは景気後退が始まったと公式に宣言するのですか?
いいえ。失業率に基づくシグナルです。NBERはより幅広い指標を使い、景気循環の日付を別途、事後的に決定します。
Q2基準を超えると景気刺激給付が自動で支給されますか?
いいえ。基準は2019年のHamilton Projectの政策提案に由来します。提案は法律ではなく、自動給付を承認するものでもありません。
Q3リアルタイムの値が現在の計算値と異なるのはなぜですか?
リアルタイム系列は各月に利用できたデータを反映します。current系列は改定後の履歴に同じ式を適用するため、季節要因の年次改定によって一部の値が変わることがあります。
出典
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問題 01
サーム・ルールでは、直近3か月のU-3平均から何を差し引きますか?
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