JOLTSを読み解く:求人、採用、自己都合離職
JOLTSの計測対象、求人と採用が異なる理由、自己都合離職が示すこと、そして水準・率・改定の読み方を解説します。
このガイドの内容JOLTSは何を測るのか
短い要約
求人・採用・離職調査(JOLTS)は、求人と労働者の流れを分けて捉えます。求人は、基準月の最終営業日に条件を満たしている未充足ポストのスナップショットです。採用、自己都合離職、解雇などは月全体で起きたイベントとして数えます。対象期間も問いも異なるため、求人件数と採用件数は一致せず、自己都合離職は離職全体の一部にすぎません。
JOLTSは何を測るのか
米国労働統計局(BLS)は事業所を対象に、求人、採用、離職を調査しています。労働需要と、給与台帳上の雇用への出入りを示すことが目的です。JOLTSは非農業部門全体、産業、事業所規模別のグループ、一部の地域について水準と率を公表します。[JOLTSの定義]({source:blsJoltsDefinitions})と[よくある質問]({source:blsJoltsFaq})で調査上の概念を確認できます。
これは雇用主・事業所を基にした統計です。失業者、求職者、あるいは掲載された求人広告を一件ずつ数えるものではありません。毎月の[JOLTS公表値]({source:blsJoltsCurrentRelease})は標本からの推計なので、対象期間、季節調整、改定を確認しましょう。
求人は月末時点のスナップショット
JOLTSで求人として数えるには、基準月の最終営業日に次の3条件すべてを満たす必要があります。具体的なポストが存在し、仕事があること。採用される人が30日以内に就業を始められること。雇用主が事業所の外から積極的に人材を募集していること。将来の採用計画、社内昇進の機会、すでに埋まったポストは該当しません。[BLSの求人要件]({source:blsJoltsFaq})では、積極的な募集の意味を説明しています。
求人水準はストックで、ある時点で条件を満たす未充足ポスト数を表します。月中に出された求人広告の総数ではなく、雇用主は複数の求人を持つこともあります。ポストの新設・募集開始で増え、充足・取消し・対象条件から外れることで減る場合があります。数値だけでは、どの出来事が変化をもたらしたかは分かりません。
採用は月中の給与台帳への追加を数える
JOLTSの採用は、基準月の全期間に事業所の給与台帳へ加わった労働者です。新規採用と再雇用、フルタイムとパートタイム、一部の呼び戻し、同じ月に採用されて再び離職した人、同じ企業の別事業所からの異動を含みます。回答事業所内の異動や昇進、外部の臨時雇用・人材リース会社が供給する労働者は含みません。[BLSの採用定義]({source:blsJoltsDefinitions})を参照してください。
採用はフローです。一定期間のイベント数であり、ある瞬間に空いているポスト数ではありません。今月の採用が月末にも残る特定の求人に対応するとは限りません。ポストはそれ以前に募集・充足された可能性があり、呼び戻しや事業所間の異動が採用として記録されることもあります。反対に、最終営業日に残っている求人が埋まるのは翌月かもしれません。
自己都合離職は任意の離職で、退職全体ではない
自己都合離職(quits)は、月中に労働者自身が任意に始めた雇用終了です。定年退職や同じ企業の別事業所への異動は含まず、JOLTSではその他の離職に分類されます。離職総数は、自己都合離職、解雇・免職、その他の離職から成ります。解雇・免職は雇用主が始める非自発的なものです。その他には退職、死亡、障害、条件を満たす異動などが含まれます。[JOLTSの離職定義]({source:blsJoltsDefinitions})で各区分を確認できます。
自己都合離職率の上昇は、仕事を辞める意思や余裕のある労働者が増えた状況と整合することがありますが、労働者の満足度や、よりよい仕事へ移れた人の数を直接測るものではありません。離職には機会、賃金、労働条件、個人的事情などさまざまな要因が関係します。水準、率、産業別の動き、労働市場全体の状況を合わせて読みましょう。
求人と採用が一対一で一致しない理由
求人は月の最終営業日に測定し、採用と離職は月全体を対象にします。このストックとフローの違いだけでも、数値が一致するとは限りません。定義も異なります。採用には一部の呼び戻しや別事業所からの異動も含まれますが、求人には30日以内に就業できることと外部募集が必要です。
BLSによると、採用から離職を引いた値は、雇用変化の概念上の推計値となり、Current Employment Statistics(CES)の月次雇用変化と似ていて、長期的には連動する傾向があります。それでも定義、対象期間、推計方法が異なるため、短期的にはずれることがあります。JOLTSの採用数から離職数を引いた値を、給与台帳上の雇用増減と正確に一致させる値として扱わないでください。この比較は[JOLTSのFAQ]({source:blsJoltsFaq})で解説されています。
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水準と率は異なる問いに答える
水準は求人件数や給与台帳上のイベント数です。率は件数を雇用者数の基準に対して示すため、規模の異なる事業所グループを比べやすくします。JOLTSでは求人率と他のイベント率で分母が異なります。
求人率 = 求人数 ÷(雇用者数 + 求人数)× 100
採用率・自己都合離職率など = イベント件数 ÷ 雇用者数 × 100
[BLSの率の定義]({source:blsJoltsFieldDefinitions})に分母が記載されています。求人率の分母には求人が含まれますが、採用率と自己都合離職率には含まれません。そのため同じ母数から計算した割合ではありません。求人率4.5%、採用率3.5%だからといって、ポストのちょうど1%分が未充足だとはいえません。
JOLTSの水準と率を使った仮の例
架空の事業所グループに従業員が100,000人おり、月末時点の求人が5,000件、月中の採用が4,000件、自己都合離職が2,000件だったとします。以下は説明用の数値で、BLSの推計値ではありません。
| 指標 | 仮の水準 | 率の計算 | 仮の率 |
|---|---|---|---|
| 求人 | 5,000 | 5,000 ÷ (100,000 + 5,000) | 4.76% |
| 採用 | 4,000 | 4,000 ÷ 100,000 | 4.00% |
| 自己都合離職 | 2,000 | 2,000 ÷ 100,000 | 2.00% |
求人率だけ分母が異なるため、3つの率を同じ母集団に対する割合のように比べることはできません。また、採用4,000件が月末求人5,000件のうち4,000件を埋めたことを示す例でもありません。採用は月全体で起き、求人は月末に数えるからです。
JOLTSの公表値をどう読むか
まず指標と対象期間を確認しましょう。求人は最終営業日時点、採用と離職は月全体が対象です。次に、表が季節調整済みか未調整かを確認し、同じ条件の系列と比べます。水準は件数、率は雇用者数の違いを考慮した指標です。
最初の月次推計は暫定値です。翌月に事業所から追加回答が届き、季節要因を再計算すると改定されます。年次更新では過去数年の値が改定されることもあります。月次の大きな変化を労働市場全体の強弱についての主張にする前に、改定履歴や関連データを確認しましょう。[JOLTSのFAQ]({source:blsJoltsFaq})に改定方法の説明があります。
JOLTSは他の労働指標と一緒に見ると役立ちますが、置き換えるものではありません。CPSは人々の就業状況を測り、全国失業率を示します。CESは給与台帳上の雇用と所得を推計します。失業保険の請求は給付申請の行政記録です。[CPSの概念]({source:blsCpsConcepts})、ベバリッジ曲線の解説、CESとCPSの比較、新規請求と継続請求の解説も関連する指標を扱っています。
JOLTSの推計値はなぜ公表後に変わるのか
JOLTSは事業所を対象とする標本調査であり、米国の雇用主を毎月すべて数える全数調査ではありません。BLSのFAQによると、調査は非農業部門の給与台帳上の雇用の95%超をカバーする標本枠から、約21,000の調査単位を抽出しています。この枠のカバー率は、月次公表値がすべての仕事や事業所を数えたことを意味しません。公表される水準と率は事業所の報告と調査手続きに基づく推計値なので、情報が追加されると初回公表値が改定されることがあります。最初の月次推計値は暫定値で、翌月には追加の回答が取り込まれ、季節調整係数も再計算されます。そのため、初回の推計値と、改定後の履歴に掲載される値を区別してください。[JOLTS FAQ]({source:blsJoltsFaq})では標本と公表手続きが説明されています。
95%という数字は、標本枠がカバーする非農業部門の給与台帳上の雇用の割合を示します。求人数の95%が直接観測される、または事業所の95%が回答するという意味ではありません。約21,000は調査単位の数であり、仕事や求人の数ではありません。公表値が標本報告から推計されていると覚えておけば、全数の実測値と混同せず、月ごとの変化を適切に捉えやすくなります。
年次更新でも系列が改定されることがあります。BLSはJOLTSの雇用水準を更新されたCES雇用推計に合わせてベンチマークします。雇用はJOLTSの率の分母に使われるため、この更新は重要です。BLSは季節調整係数も見直して更新します。FAQによると、季節調整済み・未調整の過去5年分のデータが改定されることがあります。したがって、過去の率が変わっても、求人、採用、離職の定義自体が変わったとは限りません。追加報告、雇用基準の更新、季節調整係数の変更、またはその複数が要因になり得ます。[JOLTS FAQ]({source:blsJoltsFaq})は月次・年次の改定手続きを説明しています。
最近の公表値を古い記事、グラフ、ダウンロード済みファイルと比べるときは、データの版と季節調整の基準が同じか確認してください。短期の動きを読む場合は、最新の改定系列を各月で一貫して使います。当時わかっていた情報を保存する必要がある研究では、初回公表時の版も残してください。月次の見出しとなる数字は有用ですが、推計値であることもその数字の意味の一部です。
たとえば、初回公表で求人が540万件から538万件に減ったとします。次の公表で前月の値が535万件に改定され、最新月の推計値が538万件のままなら、更新後の比較では最初に見えた2万件減ではなく、3万件増になります。これは架空の数字で、典型的な改定幅を示すものではありません。変化の方向が変わるのは、求人の定義が変わったからではなく、比較する前月の値が改定されたためかもしれないことを示しています。動きを説明するときは前月値が改定されたかを明記し、2つの観測値を同じデータ版で比較してください。
改定は、根拠が記録された推計値の更新と考えてください。採用がもう1か月分加わったことや、求人の定義変更を意味するものではありません。季節調整済みのグラフなら同じく季節調整済みの系列と比べ、未調整ならその基準をそろえます。公表月と改定状況を明記すると説明を再現しやすくなり、暫定値を最終推計値と取り違えることも防げます。
よくある質問
Q1求人広告はすべてJOLTSの求人に含まれますか?
いいえ。具体的なポストが存在し、30日以内に就業でき、基準月の最終営業日に事業所の外から積極的に募集している必要があります。
Q2自己都合離職率が上がると、よりよい仕事を見つけた人が増えたということですか?
それだけでは分かりません。自己都合離職は給与台帳からの任意の離職を数えますが、退職理由や次によりよい仕事を始めたかはJOLTSから分かりません。
Q3採用数から離職数を引けば、CESの雇用変化が正確に分かりますか?
その差は概念上似ており、長期的にはCESと連動する傾向がありますが、調査の定義、対象期間、推計方法が異なります。短期的にはずれることがあります。 ---
出典
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問題 01
JOLTSはいつ求人を数えますか?
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