TAS(Trading at Settlement)を解説
TAS注文が日次清算値との価格関係をどう決めるか、対象商品の確認、公式清算値、日次損益と証拠金への影響を説明します
要点
TAS(Trading at Settlement)は、取引所の現行規則で対象とされる先物・限月だけに使える注文方式で、まだ公式に決まっていない当日の清算値に対し、清算値そのものまたは許されたティック差で売買の価格関係を決めます。注文が清算手続きを決めたり、清算値を予測したり、取引所の公式清算値に置き換わったりするわけではありません。約定後の最終取引価格は、対象商品の公式清算値が定まって初めて確定します。対象商品、取引時間、限月、許容ティック差、約定条件は、その時点の取引所資料とブローカー画面で確認します。
先に合意するのは清算値との関係です
TASでは、買い手と売り手は当日のまだ未知の清算値に対する価格関係を、対象商品で許された形で取引します。清算値そのものを参照する取引も、定義された有効なティック差を参照する取引もあります。ここで成立するのは価格を決める式であり、清算手続きを変える指示ではありません。
取引所が後で定める公式清算値が基準となり、その基準に合意済みの差を適用して取引価格が分かります。TASを使う理由は、清算値を当てることではなく、清算値がまだ発表されていない間にその基準との関係を取引できることです。
対象商品で同一商品の限月間TASが現行規則で認められる場合でも、二つの限月とスプレッドのルールを別に読みます。先物カレンダースプレッドは、二限月の価格差そのものが独立したリスクになる理由を説明します。
TAS約定と公式清算値は役割が異なります
TASの約定は、将来定まる基準との関係についての取引です。日次清算値は、取引所が商品固有の手続きで決める公式値です。後者が公表されると、合意されたTASの関係から最終の取引価格を計算できますが、TAS取引が公式清算値を作るわけではありません。
たとえば注文画面や規則が清算値への有効な差を示していても、その差は清算値を置き換えるものではありません。TASでは、対象商品・限月について取引所が定める当日の清算値を、正確な参照として確認します。
先物の清算値と最終約定値の通り、公式清算値は単に画面に最後に見えた取引と同じとは限りません。TASの結果を読むときも、最終約定値ではなく正しい商品・限月の公式基準を照合します。
対象可否は商品、限月、時間、ティックで決まります
TASはすべての先物、すべての限月、すべての取引時間に使える機能ではありません。取引所の現行の対象一覧、契約月、取引セッション、許容される価格差、注文経路を確認します。商品によってはアウトライトと同一商品内のカレンダースプレッドで条件が異なり、ブローカーが提供する注文画面も取引所の対象可否を置き換えません。
有効なティック差は、対象商品の規則とティック規則に従います。画面上の数字や別商品の慣行から差の範囲を推測しないでください。先物のティック価値と契約乗数で、許された価格差を実際の金額に換算してから数量を検討します。
注文を出せることと約定は別です。相手注文、利用可能な流動性、注文優先順位、商品ごとの運用条件によって結果は異なり、TAS注文は約定を保証しません。
損益と証拠金の経路は約定後も続きます
TASで価格関係を固定しても、清算後に保有する先物の損益経路が消えるわけではありません。取引の最終価格が定まった後も、未決済ポジションは日々の公式清算値で値洗いされ、価格変動は日次の損益と変動証拠金に反映されます。TASは将来の清算値、値動き、総損益を保証する注文ではありません。
約定価格とその後の清算値の差を、契約乗数、ティック価値、枚数とともに記録します。必要担保や利用可能な資金は、単一のTAS約定だけで判断しません。先物証拠金とレバレッジのように、日々の値洗いと証拠金の仕組みを別に把握します。
これは投資助言ではありません。実際に発注する前には、対象商品の最新の取引所規則、対象一覧、契約仕様、ブローカーの要件を確認してください。
よくある質問
TASは公式清算値を決められますか?
いいえ。公式清算値は取引所が商品固有の手続きで定めます。TASはその後に定まる基準との価格関係を取引するもので、手続きを決めるものではありません。
TASはすべての先物とすべての時間で使えますか?
いいえ。対象商品、限月、セッション、価格差、注文経路は現行規則により異なります。発注前に対象一覧と契約仕様を確認します。
TASで約定すれば証拠金や日次値洗いを気にしなくてよいですか?
いいえ。先物ポジションが残る場合は、公式清算値による日次損益と証拠金の経路が続きます。TASは将来の損失や資金要件を上限設定するものではありません。