先物ロールとカレンダースプレッドの違い
先物ロールとカレンダースプレッドで、ロール後の保有ポジション、限月差による損益、スプレッド注文、期限・流動性・証拠金がどう異なるかを説明します
要点
先物ロールは、保有中の近限月アウトライトを相殺し、期先限月のアウトライトを建てる操作です。完了後に通常残るのは、より先の一つの限月ポジションです。カレンダースプレッドは、同じ市場の二つの限月に反対方向のポジションを意図的に残し、その価格差の変化で損益が決まります。上場スプレッド注文はロールの二レッグを一緒に執行してレギングリスクを抑えられますが、それは執行方法であって、最終保有がカレンダースプレッドになることを意味しません。注文画面のスプレッド価格、口座に残る契約、受渡し・流動性・証拠金の確認を同じものとして扱わないことが重要です。
ロール後には一つの限月だけが残る
ロングの近限月をロールする場合、近限月を売って期先限月を買います。ショートなら、近限月を買い戻して期先限月を売ります。二つのレッグが執行されても、その目的は限月を置き換えることです。完了後には旧限月のアウトライトを残さず、期先限月の一方向ポジションだけを持つのが通常です。
したがって、ロールは市場エクスポージャーを満期の先へ移す管理操作です。価格、満期、流動性、受渡しへの近さは変わりますが、近限月と期先限月の差そのものに継続して賭ける設計ではありません。先物コントラクトをロールする仕組みでは、二つのレッグと商品ごとの締切をさらに分けて説明します。
「二つの月を取引した」という履歴だけで、ロールを二限月戦略と分類しないでください。執行直後に旧限月がゼロで、期先限月だけが残るなら、終了時のエクスポージャーはロールです。
カレンダースプレッドは二つの限月差を保有する
カレンダースプレッドでは、たとえば近限月を買い期先限月を売る、またはその逆を行い、両方のポジションを同時に維持します。主な損益要因は市場の単純な上げ下げではなく、選んだ限月間の価格差がどう変わるかです。
近限月マイナス期先限月という表示なら、近限月を買い期先限月を売る側はその差をロングにしています。両限月が上昇しても近限月が期先限月より弱ければ損失になり得ます。反対に、両方が下落しても期先限月の下落がより大きければ利益になることがあります。先物カレンダースプレッドで、符号、限月差、二レッグのリスクを確認できます。
ロールは「古い月をなくし新しい月を残す」、カレンダースプレッドは「二つの月の相対関係を残す」という違いです。二つのレッグを使う点だけを比べると、この終了時ポジションの違いを見落とします。
スプレッド注文は執行方法であり、保有戦略ではない
取引所が上場カレンダースプレッドを提供している場合、ロールの売りと買いを一つのスプレッド注文として出せることがあります。別々のアウトライト注文の間に起こる限月差の変動を減らすための方法であり、相対価格を取引するカレンダースプレッドと同じ注文板を使う場合もあります。
ただし、注文の表示価格は二限月の差であって、ロール完了後の損益がその差だけに縛られることを示しません。ロール後に旧限月が相殺され、期先のアウトライトが残れば、その後の損益は主に期先限月の価格変動に従います。反対に、二つの反対レッグを保持したままなら、その後も限月差が損益の中心です。
スプレッド注文でも部分約定、約定しない注文、ビッド・アスク、取引所固有の優先順位は残ります。約定結果を見て、旧限月と期先限月の数量が意図どおりかを確認してから、最終ポジションを判断します。
期限・流動性・証拠金を別々に確認する
ロールでは旧限月の通知日、最終取引日、ブローカーの期限が先に問題になり得ます。カレンダースプレッドでは、その二つの限月それぞれの運用日程を管理します。First notice dayと最終取引日のように、取引終了、通知、決済を一つの日付にまとめず、正確な契約仕様で照合してください。
流動性も同じではありません。ロール期には取引が次の活発な限月へ移ることがありますが、スプレッドの各レッグとスプレッド注文の板が常に同じ深さとは限りません。見かけのスプレッド価格と、希望数量で実際に約定できる価格を分けて考えます。
反対レッグのスプレッドに証拠金上の相殺があっても、必要証拠金は最大損失の表示ではありません。ロールで一つのアウトライトに変われば、その口座上の要件も変わり得ます。ロールイールド、コンタンゴ、バックワーデーションは限月差がロール時の経済的な差である理由を説明しますが、将来の利益や証拠金額を約束するものではありません。
よくある質問
スプレッド注文でロールしたら、カレンダースプレッドを保有していますか?
必ずしもそうではありません。近限月が相殺され期先限月だけが残るなら、スプレッド注文を使っても終了時のポジションはロール後のアウトライトです。
ロール価格と、その後の損益は同じものですか?
同じではありません。ロール価格は執行時の二限月の差です。ロール後に一つの期先アウトライトだけを保有するなら、以後の損益は主にその契約の価格変動から生じます。
反対の二レッグがあると受渡しと証拠金を無視できますか?
できません。各限月には固有の期限と契約規則があり、証拠金相殺も最大損失の保証ではありません。正確な限月、ブローカー方針、利用可能な資金を確認してください。