二項オプション価格モデルを基礎から解説
一期間の複製、リスク中立確率、後ろ向き計算、早期行使の比較から二項ツリーによるオプション評価を解説します
Mark編集 · 一次情報は記事末尾に掲載
要点
二項オプション価格モデルは、各期間に原資産が上昇または下落すると仮定し、満期のペイオフから現在価値へ後ろ向きに計算する離散モデルです。リスク中立確率は市場の方向を予測する確率ではなく、状態別の複製と整合する無裁定価格を作るための重みです
一期間に価格決定の原理が詰まっています
現在価格 S が一期間後に上昇状態 Su または下落状態 Sd になるとします。上昇係数 u は下落係数 d より大きく設定します
オプションは二つの状態で Cᵤ と C_d を支払います。原資産と現金を組み合わせれば、両方の支払いを同時に複製できます
複製ポートフォリオとオプションの将来支払いが同じなら、無裁定原則により今日の価値も一致しなければなりません
デルタと現金が二状態を複製します
ヘッジ比率は delta = (Cᵤ − C_d) / (Su − Sd) で、支払いの差を原資産価格の差で割った値です
デルタを決めた後、各状態で残る支払いを貸借で合わせます。この現金部分を割り引けば現在のオプション価値が得られます
どちらの枝が現実に起こりやすいかを予想せず、状態別の複製から価格を得る点が重要です
リスク中立確率は価格の重みです
同じ価値は、将来の二つのオプション価値をリスク中立確率 q で加重平均し、割り引く形でも表せます
q はキャリー込みの原資産期待値が無リスク成長率または先渡成長率に一致するよう定めます。過去の上昇頻度とは別物です
無裁定にはキャリー込み成長率が d と u の間にあり、q が0と1の間に入る必要があります。外れるなら入力が矛盾しています
再結合ツリーが計算量を抑えます
一期間の論理を複数期間に繰り返します。再結合ツリーでは、上昇後の下落と下落後の上昇が同じ価格ノードに到達します
n期間後の固有な満期価格は 2ⁿ 個ではなく n + 1 個で済むため、計算量を大幅に減らせます
Cox–Ross–Rubinstein方式は、通常ボラティリティと期間幅から u と d を決め、互いに逆数の値として再結合させます
後ろ向き計算が今日の価値を作ります
最初にすべての満期ノードで契約のペイオフを計算します。次に各親ノードでリスク中立期待値を割り引きます
ルートに着くまで一期間ずつ戻ります。各中間値は、そのノードから到達可能な状態を条件とするモデル価値です
配当、金利期間構造、時間変化するボラティリティは各段階で整合的に反映し、最後にまとめて調整してはいけません
アメリカン型は早期行使の選択を加えます
行使可能な各ノードで、直ちに行使する価値と割引後の継続価値を比較します。アメリカン型の価値はその大きい方です
この単純な最大値の選択が行使領域を決めます。標準的なヨーロピアン型の閉形式より柔軟である大きな理由です
行使結果もモデルに依存します。離散配当、借株、決済方法、期間幅は推定される行使境界を大きく動かします
期間数を増やしてもモデル誤差は消えません
適切な設定では期間を細かくすると、二項価格は対応するBlack–Scholesなどの連続時間モデルへ収束します
権利行使価格がノード間のどこに位置するかで収束が振動することがあります。ツリーのパラメータ化でも偏りが変わります
期間数の増加は離散化誤差を減らすだけです。誤ったボラティリティ、欠落したジャンプ、配当ミス、取引不能な価格は直せません
使用前にツリーを検証します
無裁定境界、ヨーロピアン型のプット・コール・パリティ、単調性、凸性、期間数を増やしたときの収束を確認します
ヨーロピアン型は閉形式、アメリカン型は独立した手法と比較します。満期直前、極端な原資産価格、配当日も試します
ツリー方式、キャリー、カレンダー、行使日程、期間数を記録します。設定がなければ計算価格を再現できません
よくある質問
オプション価格の二項ツリーとは何ですか?
原資産が各期間に上昇または下落すると仮定し、満期ペイオフから価値を後ろ向きに計算する離散モデルです
リスク中立確率は株価の上昇確率ですか?
予測確率ではありません。キャリー込みの原資産がツリー内で無裁定関係を満たすようにする価格の重みです
二項ツリーが再結合するのはなぜですか?
上昇後の下落と下落後の上昇が同じ価格になるよう係数を選び、固有ノード数を減らすためです
二項ツリーでアメリカンオプションを評価できますか?
できます。各行使可能時点で本源的価値と継続価値を比較し、大きい方を選びます
出典
この考え方を自分のオプションに当てはめる
契約と目標を選ぶと、価格・時間・ボラティリティの前提を一つの分析で確認できます
自分のオプションを分析する(英語)