資産価格付けの基本定理をわかりやすく解説
無裁定、同値マルチンゲール測度、市場の完備性が資産価格付けの基本定理でどう結び付くかを解説します
Mark編集 · 一次情報は記事末尾に掲載
要点
資産価格付けの基本定理は、無裁定と同値な確率測度の存在を結び付けます。その測度の下で適切に割り引いた取引可能資産はマルチンゲールとなり、そのような測度が一つだけという条件は、あらゆる許容請求権を複製できる市場の完備性に対応します
裁定取引は単なる好条件の取引より強い概念です
裁定取引は純投資なしで始まり、モデル上は損失せず、少なくとも一つの関連状態で正の支払いを生みます
高いシャープレシオ、統計的優位、割安に見えるオプションも損失可能性が残るなら裁定ではありません
定理はこの厳密な条件から始まります。許容戦略、資金調達、制約を変えると裁定の有無も変わり得ます
状態価格が将来支払いを現在価値へ変えます
有限一期間市場では、将来の各状態に非負の現在価値ウェイトを付け、複製可能な支払いをその加重和で評価します
全取引価格を満たす正のウェイトがあれば、費用ゼロのポートフォリオが無損失で一部状態だけ利益を出すことはできません
そのウェイトをマネーマーケット口座で正規化すると確率になります。価格汎関数がマルチンゲール測度へ変わります
同値性は不可能な事象を保存します
同値測度は現実測度とまったく同じ事象に確率ゼロを与えます。可能な状態を新設・削除せず相対ウェイトだけを変えます
支払いが新測度で不可能とされた状態だけで正なら、同じ裁定の議論を支えられないため重要です
新しいウェイトは評価道具であり、投資家がその確率を文字どおり信じるという主張ではありません
無裁定はマルチンゲール測度の存在に対応します
標準的な有限モデルでは、無裁定と、割引後の取引資産をマルチンゲールにする同値測度の存在が同値です
一般の連続時間市場では、正確なノーフリーランチ条件と技術的仮定が重要で、簡略化し過ぎた表現では弱い場合があります
経済的意味は共通です。整合的価格は適切な価格測度の下で条件付き割引価値として表現できます
完備性はあらゆる請求権を複製できるかです
完備市場では、モデルで許容されるすべての条件付き支払いを利用可能な資産の取引で作れます
標準設定で完備性は同値マルチンゲール測度の一意性に対応し、一つの測度が各請求権に一つの無裁定価値を与えます
複数測度が取引資産に適合するなら、複製不能な請求権には追加基準がない限り無裁定価格の範囲が残ります
二項モデルとBlack–Scholesが両面を示します
株式一つと債券一つの二項モデルは二つの将来状態を持ち、通常すべての二状態支払いを複製するため測度は一意です
理想的なBlack–Scholes拡散モデルは連続取引で一つのブラウンリスクを張り、よく知られた複製価格を得ます
取引不能なボラティリティ、ジャンプ、費用、制約を加えると有用な価格は残っても厳密な完備性は失われます
定理は現実世界の分布を選びません
無裁定は相対価格を制限しますが、期待収益率、事象頻度、どの較正モデルが最良かは決めません
二つのモデルが現在価格に同じく適合しても、観測範囲外や将来の再較正では異なる動学を示し得ます
定理で価格整合性と予測を分けます。有効な価格測度でも現実頻度を正確に予測する保証はありません
実務には明示した市場モデルが必要です
取引資産、ニュメレール、情報、許容戦略、資金調達、担保、費用、実際にヘッジ可能なリスクを指定します
価格が静的境界に反しないか、複製が離散取引、流動性、パラメータ不確実性でも維持されるかを試します
基本定理はモデル設計の基礎であり、理想的ヘッジを実行できることや全市場価格が無裁定であることの証明ではありません
よくある質問
資産価格付けの基本定理は何を述べますか?
標準形では無裁定が同値マルチンゲール測度の存在に、完備性がその一意性に対応します
同値マルチンゲール測度とは何ですか?
現実測度と零確率事象を共有し、選んだニュメレールで割り引いた取引資産をマルチンゲールにする測度です
無裁定ならオプション価格は一つですか?
請求権が複製可能か市場が完備なら一つです。不完備市場では複数の整合的価格が残り得ます
リスク中立測度は現実の予測ですか?
いいえ。現実の発生頻度ではなく、各状態が市場でどう評価されるかを表す価格評価の道具です
出典
この考え方を自分のオプションに当てはめる
契約と目標を選ぶと、価格・時間・ボラティリティの前提を一つの分析で確認できます
自分のオプションを分析する(英語)